テッサ、白子、テッチリ、ヒレ酒…高級魚で、冬の風物詩となっているふぐ料理の季節が到来した。主に西日本で消費されているイメージが強いマフグやトラフグだが、これまであまり目にしなかった北海道や福島県で、漁獲量が拡大している。
農林水産省の『海面漁業生産統計調査』によると、マフグやトラフグなど〝ふぐ類〟の全国漁獲量は、2010年から19年まで年5000トン前後で推移。新型コロナウイルスの感染拡大で外食需要が激減した20年は、3845トンに減少した。
「実は、2010年に84トンだった北海道のふぐ類の漁獲量が20年は927トン。10年間で約11倍に急増したのです」(漁業情報センター関係者)
2020年のふぐ類の漁獲量を都道府県別に見ると、2010年に19位だった北海道は2位の石川県(466トン)に倍近い差をつけて1位。ふぐの名産地として知られる山口県は287トンで3位だった。
「北海道では、オホーツク海側で漁獲量が伸びている。原因は不明ですが、〝イカの街〟函館市ではイカの不漁に代わってブリが大漁にになった。以前からふぐは山形県で獲れていた。それが北上した。やはり、地球温暖化による海水温の上昇説があります」(同)
漁獲量増え値下がりに期待
一方の福島県。福島県水産資源研究所によると、2018年までふぐの漁獲量は1トンにも満たなかったが、19年以降増加。20年に6トン超え。昨年は27.8トンと、この3年間で10倍増となった。
「今年は漁が始まった9月だけですでに10トンで、昨年を上回るペースです。県では年々ふぐの漁獲量が増えていることから、希望の光という意味を込めて『福とら』と名付けたんです」(水産仲卸業者)
ところが、北海道、福島県とも、ふぐの食文化はまだ浸透していない。ふぐの毒を処理する資格取得調理師が不足しているため、ふぐ料理店もわずか。宝の持ち腐れ状態になっている。
「山口県下関で行われたふぐの初競りは1キロ1万6000円の高値がついた。北海道や福島のふぐが東京・豊洲市場に入ってくれば、値が下がって庶民にも手が届くと思います」(同)
〝たらふく〟食べてみたい。
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