2022年に入ってから、北朝鮮はかつてない異常とも言える頻度でミサイル発射実験を繰り返している。その数90発以上。米国のランド研究所は「25発のミサイルを撃つのに7000万ドル(約98億2000万円)近くかかっている」との推測を明らかにしたが、一体これだけの資金をどうやって調達しているのか。
飢餓に苦しむ国民を尻目に、7000万ドルは輸入米の2年分にも相当する。
「北朝鮮国営メディアの朝鮮中央通信(KCNA)は11月19日、金正恩総書記の現地指導の下、18日に新型で世界最大級の大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星17』の発射に成功したと報じました。その際、正恩氏は李雪主夫人と娘を同伴しています。娘の姿が公開されるのは初めてのことで、余裕と自信を表わそうとしているのでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)
サイバー攻撃も金銭狙い!?
慢性的な経済難に加え、国連制裁やコロナ禍で、より一層の困難に直面しているはずの北朝鮮は、さまざまな手段で資金を捻出しているという。
「高位脱北者で、現在は韓国で国会議員をしている太永浩氏は、ミサイル発射実験の原資として麻薬や偽造紙幣の流通、不法な武器輸出および技術移転、中国の支援を挙げています。北朝鮮は世界で唯一、国家主導で麻薬を生産しているうえ、今でもイランやシリアなど反米の中東国家と武器取引をしている。中でもミサイルの技術移転が、外貨獲得の手段になっています」(国際ジャーナリスト)
また、最近はロシア軍に向けた防寒服や靴の生産で、外貨や原油を稼ごうとしており、朝ロ国境を越えていく貨物列車も確認された。
「10月14日、日本の警察庁や金融庁などが、北朝鮮のサイバー攻撃への警戒を促す声明を発表しました。北朝鮮の偵察総局傘下の部隊が仮想通貨930億円を強奪したのです。一般的に国家が手掛けるサイバー攻撃は諜報活動や破壊工作が目的ですが、北朝鮮は金銭を狙っています」(外交関係者)
暴走を続ける正恩氏は、核を先制使用できる実戦力を誇示したい7回目の核実験は、目前に迫っている。
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