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阪神、DeNA嶺井獲得で「ID野球」化!? 岡田&三浦両監督を結ぶ“不思議な縁”

阪神甲子園球場
阪神甲子園球場 (C)週刊実話Web

阪神タイガースの歴代の監督は「打倒巨人」をお題目のように唱え、単騎で優勝を目指してきたが、岡田彰布新監督は戦術を大きく転換。

今季2位で目の上のたんこぶ、横浜DeNAに「2位、3位連合」を呼びかけ、三浦大輔監督に急接近しているのだ。その真相とは!?

「評論家として今季の阪神を見てきた岡田監督は、V逸も3位転落も、原因はDeNA戦のつまずきにあると結論付けたようです。そこで、〝抱き付き作戦〟です。何かと高圧的な男が、三浦監督に対しては目線を合わせ、本拠地で勝つノウハウを吸収しようとへりくだった態度で接しています。劇的進化と言っていい」(阪神担当記者)

今季3位の阪神は、優勝したヤクルトに11勝13敗1分け、4位巨人に14勝10敗1分け。しかし、2位DeNAには9勝16敗と大きく負け越した。そこで岡田監督と藤原崇起オーナーが来季の戦略を練るなかで、目標としたのが、DeNAの「本拠地17連勝」だ。ホームゲームの連勝で選手の士気が上がり、誘客も加速。「真似せなアカン」で一致したという。

「さっそく舵を切ったのが、DeNAとの連合。両監督は不思議な縁でつながっており、それを『同盟』に活用したのです」(同)

三浦監督の父親は、岡田監督の実家がある大阪市玉造で生花店を営んでいた関係で、私設後援会「岡田会」の主要会員だった。三浦監督自身も小学生時代から甲子園球場で阪神の応援をしたり、選手時代の岡田監督からサインをもらったりしたほか、食事を共にすることもあったという。

DeNA・嶺井がFA行使で移籍か

そんな歴史があり、岡田監督は三浦家のヒーローで、誰もが来季の阪神-DeNA戦を楽しみにしているという。両監督は「私情ははさまない」と語るが、第三者としては連帯できるし、その動きも進んでいるのだ。

11月9日に締め切られた国内フリーエージェント(FA)で、西武・森友哉、オリックス・伏見寅威、DeNA・嶺井博希の3捕手が権利を行使した。当初、阪神は強打の森獲得を目指したが、新監督が岡田氏に決まり嶺井にスイッチした。

「嶺井は打力では劣るが、DeNAが熟成させた本拠地必勝のノウハウを知るという判断。各球団とも捕手流出は最も警戒するところだが、『岡田-三浦』の関係は良好で波風はない。タテジマのユニホームを着る両球団の環境は整っている」(スポーツ紙デスク)

DeNAは、ドラフト1位で大阪桐蔭高の松尾汐恩捕手を指名し、昨年、市和歌山高からロッテにドラフト1位で入団した松川虎生に続く、開幕スタメンを期待している。しかし、主戦の嶺井がいては黄金ルーキーを使いづらい。嶺井はそんな空気を読み、FA権行使を決断したという。

ところがどっこい、阪神電車への乗り換え直前に「待った」をかけたのが、〝キャノン〟こと甲斐拓也がいるソフトバンクだ。

「嶺井は沖縄尚学高、亜細亜大学時代に1歳上の東浜巨とバッテリーを組んだことから、その登板日に起用し、甲斐を休ませようと。しかし、これは表向きの理由。本音は阪神同様、DeNAが持つ本拠地勝利のノウハウ入手にある」(同)

故・野村克也監督が始めたデータに基づく「ID野球」は、今や全球団が取り入れている。最も先行するのがDeNAだ。2017年にゲームアナリストや統計専門家などからなるデータ分析部門を新設。19年からはKDDI(au)とパートナーシップを締結して「データの見える化」を促進し、いち早くバーチャル空間を使った指導に成功し、実戦配備した。

AIデータ分析で豪速球も体験

他球団がデータ解析した相手投手の速度、回転数をもとにピッチングマシンに取り入れるレベルなのに対し、DeNAは次元が違う。撮影した相手投手の映像を組み合わせ、バーチャルの立体画像を作り出して指導する。ボールの微妙な変化も、胸元をえぐる豪速球もリアルに体験できるのだ。

しかも、1球ごとの配給もAIがデータを読み解き、狙い球を指示。一軍選手レベルなら、狙い球を予測できればヒットの確率は格段に上がる。DeNAがホームで滅法強いのは、ハマスタにはデータ分析のエキスパートが揃っているからだ。もちろん、前時代的なスパイ行為ではなく、当日のデータに基づくハイテク分析。

「阪神とソフトンバンクが嶺井をめぐり綱引きするのは、背後に携帯3社の戦いがあるからです。阪神はドコモと、ソフトバンクは自社グループとタイアップし、auと提携するDeNA同様に『見える化』に取り組んでいます。しかし、DeNAのゲーム開発専門家を備えるau陣営には太刀打ちできません。恐らく、少しでも嶺井からフィードバックできないものか、と期待しているのではないか」(IT評論家)

今オフの阪神は外国人選手8人のうち7人を解雇し、11億円を浮かせた。その戦力損失分を嶺井の頭脳でカバーできれば、岡田監督は8億円を浮かせた中日時代の落合博満GM以上のコストカッターとして名を刻む。しかも嶺井は年俸2700万円(Cクラス)のため、人的補償も不要。甲子園で白星が増えれば、優勝と大幅増収もついてくる。

「アレ」を狙うなら「そらそうよ」――。優勝を狙うならDeNAの頭脳強奪という意味なのだが、補完が必要な岡田監督の言い回しには、実はトラブルを回避させる大人の知恵と計算が秘められている。

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