米アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)が日本の処方薬販売への参入を検討していると報じられ、薬局業界に激震が走った。
「日本では2023年1月から電子処方箋が導入され、紙の処方箋がなくても薬の受け取りが可能になります。そのタイミングでアマゾンが処方薬のネット販売に参入するでしょう」(医療ジャーナリスト)
居住エリアや薬の在庫状況によっては、受け取りまでに1日から2日程度かかる見通しだが、患者からすると送料を負担すれば、薬局に立ち寄る手間が省けることになる。
アマゾンはだんまりを決め込んでいるが、薬剤師の募集やプラットフォームの準備を着々と進めている。
「アマゾンは大手スーパーのライフと提携し、食品の配送も行っている。処方薬まで取り扱うようになれば、ドラッグストアにも脅威となる」(経済評論家)
米国ではオンラインが急速に普及
すでに米国では2020年からオンライン薬局「Amazon pharmacy(アマゾン・ファーマシー)」を立ち上げ、処方箋のデリバリー事業を開始している。
「アマゾンのプライム会員は送料無料。薬剤師がオンラインで24時間対応してくれる利便性の高さから、オンライン薬局が急速に普及した」(米国在住の医師)
オンライン薬局が浸透すれば、大学病院などに隣接する「門前薬局」や駅前の好立地に実店舗を持つ薬局の優位性が低くなる。
「コロナ禍で病院の受診控えが相次ぎ、処方箋の数が激減。調剤薬局の倒産が増える中、アマゾン参入で薬局の淘汰が進むでしょう」(大手薬局チェーン幹部)
大手薬局チェーンやイオンなどもオンライン薬局事業を開始する予定だが、自社の会員や配送網を持つ巨大企業アマゾンの参入で業界は戦々恐々だ。
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