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JRA重賞『エリザベス女王杯』(GⅠ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

(C)JRA
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GⅠの谷間のアルゼンチン共和国杯をキチンと当てて、GⅠ戦に弾みを、の目論みは田辺ブレークアップの激走の前に敢えなく散った。2着武豊ハーツイストワール、3着戸崎ヒートオンビートはしっかり押さえていたというのに…「神よ、無情ですぞ」(by『ポセイドン・アドベンチャー』のジーン・ハックマン)と天を仰いだ。

前走「六社S」組は2017~19年に馬券対象となり、近年好走パターンとは知っていたが、穴には坂井キングオブドラゴン(4コーナーまで先頭だったが、内ラチに激突して暗転、大差のペケ)や岩田望カントル(惜しい4着!)を狙ってしまい、大魚を逸した。

それにしても、この週の土日重賞4つはすべて大荒れ、という異常事態。勝ち馬では6番人気(ブレークアップ)が最高で、土曜が2鞍とも10番人気、日曜のみやこSの幸サンライズホープは11番人気だもの。1番人気は3着が1頭いただけ、というドツボぶり。せっかく天皇賞でルメール&イクイノックスが、長らく続いた〝魔の1番人気〟のジンクスを破ったのに…トンネルを抜けるとまたトンネルだった…になるのかねえ。まあアルゼンチン共和国杯の救いは、「GⅡなので入れ込み無用と心掛けたい」と文末に記したように、控え目に投資したので傷は浅かったということか。

というわけで気を取り直し、立ち直りも早く、GⅠの中でもダービー、有馬記念に次いで好きなレースかも知れない今週のエリザベス女王杯に取り組みたい。〝牝馬の鉄〟としては、一段と胸も高鳴るし、投資額も〝特GⅠ〟級にブチ込むゾ、と2連敗しているくせに、鼻息だけは荒い。エリ女といえば思い出すのが、ちょうど30年前の1992年のタケノベルベットだろう。2番人気のメジロカンムリ(こちらが私の軸)との馬連がビックリしゃっくり70470円も付いたのだ。最初7470円かと思ったら、その10倍だもの! 500円分とはいえ、35万越えに小躍りし、嬉しさついでに長年の馬友K君に当たり馬券のコピーをFAXして自慢したら、彼もメジロカンムリ軸でしっかり取っていて、彼の的中馬券のコピーをFAX返しされたっけ。今でもK君と呑むと、その話題を壊れたテープレコーダーのように繰り返したりして。しみじみ、年寄りは昔話が好きなのである、と思ったっけ。

“映画連想馬券”も本命「ローズ」から

ここ10年でのヒットは16年。デムーロの3番人気クイーンズリング、ルメールの12番人気シングウィズジョイと来て馬連13710円。〝デム・ルメ〟でこんなに付くの? と驚いたものだ。3着2番人気浜中ミッキークイーンで3連複20680円もゲット。昨年のアカイイトには手が回らなかったが、一昨年は、私の〝恩馬〟=サラキア(2着)でゲットしている。

今年はすぐに決まった。秋華賞でお世話になった坂井スタニングローズが◎、その2着の横山武ナミュールが○、あとは外国人騎手に乗り替わり組の中からムーア騎乗アンドヴァラナウトが▲、同様のルメールのイズジョーノキセキ、C・デムーロのジェラルディーナも押さえ、復活なるかの松山デアリングタクト、幸アカイイトにも注目したい。京都大賞典勝ち馬の和田竜ウインマイティーほかのウイン勢や、久々参加の外国馬でアイルランドのオークス馬とはいえ、フォーリーのマジカルラグーンは消し。他の馬はちょっと難しいのでは…と結論づけた。

さて〝映画連想馬券〟は、ゲンを担ぎ、またまたスタニングローズから〝ローズ攻め〟で『ローズマリーの赤ちゃん』(68年)といこう。現代の(とはいえ50年以上前だが)ニューヨークを舞台に、悪魔の子を孕まされた、とおののく女性を描いたホラー映画の代表作。鬼才ロマン・ポランスキーの演出、ヒロインのミア・ファーローの熱演も話題になった。いわゆる〝オカルト・ブーム〟の先駆け作で、大都市に魔族が潜んでいる? という設定が、底知れぬ不気味さを呼び、個人的には『エクソシスト』(73年)より怖かった。

買い目は、スタニングローズ⑩を軸の④⑦⑧⑪⑭⑱への馬連&3連複。これに万が一、ローズ3着も考え、⑪から馬連で④⑦⑧⑭⑱へ。あとは、一応呪縛は解けたとはいえ、スタニングローズが1番人気にならない方がやはり良いかなあ、と念じるだけ(笑い)。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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