新型コロナウイルス感染の後遺症で、認知症に似た記憶障害や集中力が低下する〝ブレインフォグ〟と呼ばれる症状を訴える患者が続出している。
日本集中治療医学会が全国32の病院で人工呼吸器による治療を受けたコロナ重症患者らにアンケート調査を実施。回答のあった209人のうち53.1%が集中治療室を出てから1年以上経過した後も「物忘れなど認知機能に不調をきたしている」という。
「ブレインフォグは『脳の霧』という意味です。脳に霧がかかったようにモヤモヤして、日常的な物事をしばらく思い出せなかったり、普段やっていることが混乱してできなくなったりする症状を指しますが、正式な病名ではありません」(都内の脳外科医)
ブレインフォグとコロナの関係性は、2020年夏ごろから注目されていた。アメリカの病院の最新研究では、コロナ軽症患者100人を対象にした調査で「集中できない」「忘れやすい」といった症状を訴える患者が実に81%もいたそうだ。
アルツハイマー型認知症発症者も
「世界的な医学雑誌『ネイチャー・メディスン』にはコロナに罹患することで認知障害をはじめ、さまざまな病気のリスクが上昇する研究結果も発表されました。それによると、コロナに感染した人は、感染していない人に比べて1年以内にパーキンソン病やてんかんなどの神経疾患を患う率が7%、脳卒中発症率は50%、記憶障害は77%も増加するという恐るべき数字が出ています」(医療ライター)
さらに、コロナ罹患者は罹患していない人に比べて、アルツハイマー型認知症の発症者が多いことも明らかになっている。
「10年前の認知症患者数は約460万人で高齢者人口に占める割合は15%でした。それが2025年には5人に1人、20%になるという推計もあるほど。コロナ感染でこの数字はさらにアップしそうです。治療薬に関しては、エーザイの認知症治療薬が治験で効果が確認されましたが、承認まではまだ時間がかかる。その間にブレインフォグの症状をどう改善させるかです」(同)
後遺症は厄介だ。
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