10月22日、第20回中国共産党大会が終了し、その直後の最高指導部人事で習近平総書記が異例の3期目に入った。これまで「2期10年」を原則として世代交代を進めてきたシステムは崩れ、党の慣例だった「68歳定年」も消滅。69歳の習総書記が、ついに本格的な暴走を始めた。
習氏の側近が多数引き上げられる一方、序列2位だった李克強首相は定年前にもかかわらず退任となり、習氏の〝一強独裁〟体制がより鮮明になった形だ。まさに第2のプーチン、巨大な北朝鮮の誕生である。
「党大会では胡錦濤前総書記が、職員に腕をつかまれ退席するというハプニングもありましたが、まさかここまで習氏のイエスマンで固めるとは思いませんでした」(中国ウオッチャー)
3期目の任期は2027年に終わる予定だが、最も懸念されるのは、習氏が台湾併合を強行することだ。さしたる実績がないどころか、コロナ封鎖や不動産バブルの後処理などで国民生活を圧迫しただけの習氏は、祖国統一という大義名分を掲げて任期延長の必要性を説いてきた。
「習氏は党大会における政治報告でも、台湾統一について『決して武力行使の放棄を約束しない』『必ず実現しなければならないし、実現できる』と強調しています」(外交関係者)
韓国の取り入りに難航!?
こうした習氏の強硬姿勢に対し、米国のブリンケン国務長官は「中国はずっと早い時期の統一を追求する決断をした」との懸念を表明。そんな中、朝鮮半島有事のみならず、台湾有事においても韓国がキーマンとなる見方が強まっている。
「中国にとって日米韓台の連携強化は、東アジアにおける中国外交の強い対抗軸となりかねません。中国が4カ国の連携を崩すとすれば、日米ではなく韓国を中国寄りに取り込む以外にない。しかし、韓国の尹錫悦大統領は中国の思惑を封じています」(同)
今年は中韓関係において1992年の国交正常化30周年だったが、両国でこれを祝うムードはなかった。むしろ現在の韓国は極度の〝嫌中〟に凝り固まっている。
「中国が台湾に武力侵攻する際には、第一段階として広大な海域とその上空で海上封鎖、航空封鎖を実施しなければならず、現状ではまだ中国軍に十分な作戦を遂行する能力がありません。しかし、中国がこれまで想定された2027年よりも早く、台湾に武力侵攻する可能性が高まっています」(国際ジャーナリスト)
中国にとって北朝鮮は、米国と対峙する際に有用なカードとなる。絶対権力を確保した習政権の台湾侵攻と、それを後ろ盾にした北朝鮮の南侵行動が、いよいよ現実味を帯びてきた。日本も有事の時代に備えなければならない。
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