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熊切あさ美インタビュー〜「“崖っぷちアイドル”にいつまでも頼ってはいられない」〜

熊切あさ美
熊切あさ美(C)週刊実話

一時〝崖っぷちアイドル〟と呼ばれた熊切あさ美さん。近年はバラエティー番組などのタレント業、写真集やイメージビデオの発売などでグラビアアイドルとしても再び脚光を浴びている。

そんな熊切さんが、11月18日より順次全国公開される映画『愚か者のブルース』でピンサロ嬢を熱演! 演技における心境や自身の恋愛観についても語ってもらった。


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――バラエティーやグラビアの印象が強い熊切あさ美さんですが、本格派のシリアスな演技に驚きました。

熊切あさ美(以下、熊切)「演技をやりたいという気持ちは昔からすごく強かったんです。そもそも私、『3年B組金八先生』(TBS系)の熱心なファンで、ああいったドラマに出たかったから芸能界入りしたんですね。だけど、なぜかスタートがチェキッ娘というアイドルで、その後はバラエティーとかグラビアに出るようになりまして…。もちろん今後もバラエティーで頑張りたいですけど、お芝居をやりたいという気持ちは諦めたくなくて20年以上ずっと抱えていました。ガレッジセールのゴリさんからは『お前、だいぶ路線を間違えているぞ』ってからかわれましたけど(笑)」

――今回の『愚か者のブルース』は、どんな経緯で出演が決まったんですか?

熊切「主役の加藤雅也さんとは、前に映画『影に抱かれて眠れ』でご一緒させていただいたときに演技面で相談させていただいたんですよ。そのときに『実は私、本格的に女優業をやりたいんです』という話もしまして。同じことは、横山雄二監督にもお伝えしていましたね。横山監督って広島ではすごく有名なアナウンサーなので、司会者とバラエティータレントという関係で繋がりがあったんです。おそらくですが、2人がそんな私の気持ちを知って決めてくれたんじゃないかな」

トップは出さないというルール

――悲願のヒロイン役というわけですね。

熊切「台本を読んで、『とうとう私にもこんな役が…』と感無量になりました。横山監督が描く昭和の世界観が以前から大好きだったので、そこに入れることも嬉しかったです。『役柄上、肌の露出も少しあるけど大丈夫?』って監督には聞かれたんですよ。でも『ぜひやらせてください!』って即答しましたね」

――実際、作品の中ではかなり大胆に脱いでいます。

熊切「トップは出さないようにするというルールは最初に決めたんですけど。…そうだ!『週刊実話』さんに言いたいことがあるんですよ〜! この前、私について書かれている記事(「熊切あさ美『熟谷間』を見せつけ崖っぷちアピール! いよいよ艶系転身か!?」)を読みまして。私はまだフルオープンしていないし、艶系の話も出ていませんから(笑)」

――大変失礼しました! 今後は熊切さんの〝実話〟だけを書くようにします!

熊切「いや、そこは笑い飛ばしたから全然大丈夫です。いつも自分のことを取り上げてくれる記事は〝いいね〟するようにしているんですけど、さすがにあのときはしませんでした(笑)」

――それにしても「ヒモ男を支えるピンサロ嬢」というのは、演じるのが非常に難しかったのでは?

熊切「ピンサロで働く方の所作が分からないから、そこは映画とかを見て研究しました。あとは元カレ役の仁科貴さんがすごく上手にリードしてくれて…。頭をガッと掴んで強引に引き寄せる動きとか、やられると本当に憎たらしくなるんですよ。仁科さんって実際はすごく優しい方なんですけど、嫌な役をやらせると天下一品。改めてプロだなと思いました。当たり前かもだけど、私、ピンサロのお店に行ったことがなかったんで」

――それはさすがに理解しております(笑)。

熊切「相手が『週刊実話』さんだから、一応、念を押しておいたほうがいいかなと思いまして(笑)」

過去の恋愛相手はダメンズ!?

――「ダメな男に惹かれてしまう女」という役柄ですが、熊切さん自身は共感できるところもありますか?

熊切「私が演じたタマコと自分自身は別人格だから、本来は似ていないはずなんです。だけど演じているうちに『こういうこともあるよな』って理解できる部分はすごくありましたね。特に自分が若い頃の恋愛と被るんですよ。まず夢を語る男性に女の人がコロッと転びやすいのは事実だと思います。『このダメ男を私が支えるしかない!』と考えちゃうんですよね」

――一種の母性本能?

熊切「そうかもしれない。私の場合は相手がヒモ男ということはなかったけれど、たとえば浮気する男の人って結構いるじゃないですか。それって世間から見たら、十分にダメ男ってことになるんでしょうから。そう考えると、私はダメ男とも付き合ってきたんだと思う。過去形じゃなくて、それは今後もかな(笑)」

――いわゆるダメンズ好きということですか?

熊切「う〜ん…自分の中では、過去の恋愛相手をダメンズって言葉で片付けたくはないんですけどね(苦笑)。だって、それを言ったら人間ってみんな愚かな生き物じゃないですか。そんな上から偉そうに切り捨てることはできないですよ。逆に『私以外には支えられない!』と考えちゃう」

――熊切さん、精神的にM要素が強いんですかね?

熊切「ジムでゴリゴリ鍛えていると、トレーナーさんに言われるんですよ。『本当にストイックですね。Mなんじゃないですか?』って(笑)。でも、確かに自分を追い詰めるのは好きなのかもしれないな」

――最近の熊切さんは肉体改造に取り組んでいるようですが、映画のために体を絞ったりもしました?

熊切「撮影期間中、お酒は断ちました。1カ月くらいは飲まなかったんじゃないかな。普段は割と飲むほうだし、休肝日もないくらいなので、自分にしては結構な事件なんですよ。やっぱり、きちんとコンディションを整えたかったので」

――普段はどれくらい飲んでいるんですか?

熊切「そんなに強くはないんですけどね。それでもワインだったら1本くらいあけちゃうときもあります(笑)。ただ、その1カ月の禁酒期間中に一度だけ横山監督と飲みに行っちゃったんですね。久しぶりに飲んだからか、そのときの私が最悪で…」

ストリッパー役のカッコよさに感激

――泥酔したうえに大暴れしちゃったとか?

熊切「いや、号泣しながら1人語りしちゃいまして(苦笑)。最初のうちは演技の相談をしていたんですよ。ところが途中から感極まって、『監督! このセリフ、私のためにあるような気がするんです!』とかウザ絡みし始めちゃいまして。監督もお忙しい方なのに、急にそんなことを言われて困ったと思う。すごくご迷惑をおかけしました」

――それくらい作品に感情移入していた、ということじゃないでしょうか。

熊切「そうなんですけど、何も泣くことはないじゃないですか。はぁ…思い出すたびにマジで自己嫌悪の極みですよ(笑)」

――映画はストリップ3部作ということで、昨年まで実在した「広島第一劇場」が舞台になっています。

熊切「そこは、この映画にとってすごく大きなポイント。実際に劇場が取り壊される様子も収められているんですけど、あれもコロナの影響で撮影が延びたから可能なことだったんです。正直、私はストリップのことについて知識がなかったんですね。だけど実際に触れてみたら脱ぐだけの仕事では決してなく、自分の裸を使った芸術表現だと感動しまして。(ストリッパー役で出演している)矢沢ようこさん、本当にカッコよかった! 舞台を観ていて、私も踊り子さんの役をやりたくなったくらいです」

――第一劇場に限らず、ストリップ劇場は全国で閉鎖が相次いでいますけどね。

熊切「もったいない話だと思います。あれは一種の文化遺産ですから。第一劇場に行くと、これまでに出演した踊り子さんの口紅の跡が残されているんですよ。独特の磁場が働いているんですよね。いろんな方の情念が渦巻いているというか…。私の出演とはあまり関係がないんですけど、ストリップの場面は『愚か者のブルース』の中でぜひ注目していただきたいです」

――それにしても改めてこの作品で女優の道が広がっていきそうですね。

熊切「〝崖っぷちアイドル〟ということで多くの方に知ってもらえたことは感謝していますけど、いつまでもそればかりに頼ってはいられないですからね。今回の作品で女優としてステップアップできた手応えがあるので、今後はもっと可能性を広げていきたいです。もちろんグラビアのお仕事も続けるつもりなので、『週刊実話』読者の方は引き続きそちら方面も応援よろしくお願いします!」

くまきり・あさみ
1980年、静岡県出身。1998年にチェキッ娘のオーディションに合格し、初代メンバーに。解散後はなかなか仕事を得られない日々が続いたが、「崖っぷちアイドル」と称して復活。現在はタレント業のほか、女優、さらにプロ雀士としての顔も持つ。
『愚か者のブルース』
11月18日(金)より「池袋シネマ・ロサ」「福岡中洲大洋劇場」にて公開!その他、全国で順次公開予定!!

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