「あの事件が弾けそうだ」
逮捕数日前からマスコミの間でこうささやかれていた王将社長射殺事件。発生から約9年経った10月28日、ついに京都府警・福岡県警合同捜査本部は国内唯一の特定危険指定暴力団である工藤會系組員・田中幸雄容疑者(56)を殺人と銃刀法違反容疑で逮捕したと発表。
2013年12月、「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行さん=当時(72)=が、京都市内の本社ビル前駐車場で4発の銃弾を受け死亡。弾丸は胸部から腹部にかけて命中し、国内の殺人事件では珍しい25口径の自動式拳銃が使われた点などから〝殺しのプロ〟による犯行とみられていた。
「事件当時、現場近くに残されていた煙草の吸い殻を鑑定した結果、田中容疑者のDNA型と一致していた。しかし、田中容疑者がそこで吸った物と限らなかったため、吸い殻だけでは逮捕の決め手に欠け、京都府警は慎重に捜査を続けていた」(全国紙社会部記者)
立証できても全容は解明できるのか…
田中容疑者は大手ゼネコン『大林組』の車を銃撃した事件で、2020年11月に福岡高裁から懲役10年を言い渡され、福岡刑務所で服役中だった。
「捜査本部が逮捕に踏み切ったのは、例の吸い殻の燃焼時間を検証し、当日、小雨が降っていた現場で消されたものだと推定できる結果を得たためでした。ただ、田中容疑者が現場にいたことは立証できても、大東さんを殺害したという証拠にはなりません。起訴に持って行くため、何らかの〝切り札〟を隠しているのではないでしょうか」(同)
ささやかれているのは、「証言」と「犯行に使われた拳銃」。これらに関して、捜査本部は重要な証拠を得ている可能性もあるという。しかし、仮に田中容疑者が実行犯だったとしても、射殺事件の全容解明までには時間が掛かるといわれている。
「なぜ大東さんが殺害されたのか、さまざまな臆測が飛び交い、いまだに確たる背景が見えない。それだけ事件の闇は深いということだ」(事件ジャーナリスト)
田中容疑者の逮捕は、全容解明に向けた〝第一歩〟にすぎないのか――。
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