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物価高騰を“ポイ活”で乗り切れ!〜企業経済深層レポート

企業経済深層レポート
企業経済深層レポート (C)週刊実話Web

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する『Tポイント』と三井住友カードの『Vポイント』が2024年をめどに統合し、会員数は延べ1億2200万人の日本最大級のポイント事業会社が発足する。

この統合の背景には何があるのか。またポイント獲得活動(ポイ活)に便利なアプリを運営する各企業間の最新動向と、利用者事情を探った。

そもそもポイント事業はなぜ誕生したかを振り返る。大学准教授が解説する。

「日本では約30年前、顧客を囲い込む手段として、家電量販店大手のヨドバシカメラがポイントカードを始めたのが最初です。これが大成功し、広がりました。現在では、特定の店舗や企業限定のポイントではなく、複数企業、多くの店舗で使用できる共通ポイントが主流になっています。その走りが2003年に始まったTポイント。日本は世界で屈指のポイント大国になりました」

矢野経済研究所の調査によれば、21年度の国内ポイントサービス市場規模は推計2兆1001億円。22年度には2.5%増の2兆1533億円が見込まれ、右肩上がりとなっている。今後の見通しを経営コンサルタントが予測する。

「日本では現在、100万円を1年間貯金しても、利息は数十円にしかなりません。しかも世界的エネルギー価格の高騰などを受け、国内は値上げラッシュです。年収400万円世帯で、対前年比で年間約7.8万円の支出増といわれています。その解決の一助となりそうなのがポイントです。上手に利用すれば、年間数万円の利益になり、物価高対策としても注目されています」

値上げラッシュでポイ活もヒートアップ

今回の大型提携の背景に戻ろう。金融系アナリストが解説する。

「統合は、ポイント展開企業の間で激しい競争が起きているためです。かつてはTポイントが頭一つ抜けていましたが、さらなる利便性を求め、提携企業の離脱が増えつつあります」

その典型が19年にTポイントを終了したスポーツ用品大手のアルペンや、コーヒーチェーンのドトールだ。アルペンは『楽天ポイント』に、ドトールは『dポイント』にそれぞれ移行した(独自の『ドトールバリューカード』のポイントは継続)。

さらに今年3月、ソフトバンクとヤフーも独自の『PayPayポイント』に移行し、「Tポイント離れ」は加速の一途だ。

「ソフトバンクグループが抱える多くの会員がごっそり離脱するのは、Tポイント最大の危機。Vポイントとの提携を急いだのもそれが理由です」(同)

では大型提携でポイント戦争はどうなるのか。

「値上げラッシュの中、庶民のポイ活はますます活発化します。その入り口となるアプリでも、ポイント企業同士の競争がヒートアップしつつある」

どんなアプリが登場しているのか。IT技術者が解説する。

「人気の筆頭はただ移動するだけでポイントが貯まる、らくちんアプリです」

移動アプリは多くの事業者が取り組んでいるが、知名度の高さでは『トリマ』(ジオテクノロジーズ)だ。熱心なポイ活利用者が言う。

「アプリを入れたスマホを持ち歩くだけで、歩数に応じてポイントが貯まります。1万歩ごとに1.5円相当のポイントを獲得。自転車や車、飛行機などに乗って移動しても、その距離がポイントになるため、通勤1年で1万円貯めた猛者も」

ストレス解消できてポイントゲット!

航空会社ANAとJALもこの移動アプリに参戦し、もはや鉄火場状態だ。

凸版印刷のグループ会社ワン・コンパスが運営する『Shufoo!(シュフー)』は電子チラシチェックでポイントが貯まる。主婦が言う。

「地域を登録すると、近所のスーパーなどのチラシがスマホに届きます。それをチェックするだけでポイントになり、お得感がある」

他にも、買い物したレシートを撮影して送信するとポイントがゲットできる『ONE』(WED)や『Rakuten Pasha』(楽天)などがある。

変わり種は『不満買取センター』(インサイトテック)。若い会社員が話す。

「商品の不満などを投稿するとポイントになります。ストレス解消の上、メリットがあるのは最高です」

電力各社が行う『節電プログラム』も注目だ。電力関連事業関係者が語る。

「ウクライナ戦争などの影響で、国内電力は不安定。そのため今冬は各電力会社が『節電プログラム』を行います。年内に参加登録した家庭には一律2千円相当、企業には20万円相当のポイントが付く」

年明けから3回分の検針で、前年同月比で3%以上の節電を達成した月は、家庭に千円、企業に2万円相当のポイントが付与される。

モバイル市場調査会社「MMD研究所」による15歳〜69歳の男女約7200人を対象にした最新調査では、「ながらポイ活アプリ」の利用者は55.5%と半数を超えたという。こうしたアプリ利用者の動向も見極め、dポイント、楽天ポイント、Pontaポイント、PayPayポイント、そして新生Tポイント…大手5グループから勝ち残るのはどこか。

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