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菅前首相が岸田政権に“倒閣”ののろし!? 解散総選挙後に首相復帰か

vasilis asvestas
(画像)vasilis asvestas / Shutterstock.com

安倍晋三元首相の国葬(9月27日)で、友人代表として涙の弔辞を披歴した菅義偉前首相が再びスポットライトを浴びている。

非主流派に追いやられた〝冷や飯前首相〟の再浮上に、政界雀が跋扈する永田町では、支持率急降下の岸田文雄首相と抜き差しならない死闘劇が繰り広げられるとして注目されているのだ。

「7月の参院選大勝利で、次の任期満了に伴う国政選挙まで『黄金の3年間』を手にした岸田首相は〝長期政権〟が見えていた。しかし、政治の世界はまさに一寸先は闇。岸田首相は国民の半数以上が反対した『安倍国葬』を強行した。そこに旧統一教会問題、物価高・円安が重なり、支持率が急降下した。皮肉なことに、崖っぷちに追い込まれた岸田首相とは対照的に、国葬で異例の拍手まで起きた弔辞で株を急上昇させたのが菅前首相です。菅前首相は国葬後、インターネット番組で岸田政権と『対峙することはない』、『(菅派立ち上げも)当面、考えてない』と否定したが、誰も額面通りに受け取っていない。これは〝寝業師〟菅前首相、一流のポーズだろう」(自民党長老議員)

というのも、昨年9月に行われた自民党総裁選の直前まで、菅前首相は続投を模索していたが、頼みの綱としていた二階俊博幹事長(当時)が辞任に追い込まれ大迷走。多数派工作にも失敗し、泣く泣く出馬を断念した苦い経験があるからだ。

「ある意味、岸田氏に続投の道を閉ざされただけに、菅氏は退陣後もリベンジする時機を窺っていた。その機会は安倍元首相の銃撃死事件で早くも到来した。敬愛した安倍元首相の国葬での弔辞が称賛されたわけですから。新しい元号を発表した際の『令和おじさん』にも似た追い風を背景に、『岸田政権を支持する』と余裕の発言をしたんでしょう。しかし、本音はこの機会に岸田首相を揺さぶり、来春の統一地方選を見据えた復活の青写真を描いている」(菅シンパ議員)

どう転んでも脱出できそうにない

では、倒閣に至る道筋をどう描いているのか。

「臨時国会で岸田政権は自民党と旧統一教会の関係を厳しく追及されている。また、国民の最大の不満は歯止めの利かない物価高騰、さらに円安。生活が汲々とする庶民の怒りは沸点に達するはず」(同)

自民党内からも「岸田首相では来春の統一選挙は戦えない」とする造反者がゴロゴロ出てくるのは必至。共同通信社の世論調査(10月8・9日)では岸田内閣の支持率は35.0%で前回より5.2ポイント減。各世論調査でも支持率下落が止まっていない。支持率が20%前後まで低迷しようものなら、即退陣に追い込まれる。

「その前に解散総選挙説が流れている。岸田首相の最側近、木原誠二官房副長官らが10月解散説を強く主張しているとされます。仮に、いま解散総選挙なら自民党は何とか勝っても議席を大幅に減らし、岸田退陣論が巻き起こる。岸田首相にとっては、どう転んでも絶体絶命のピンチを脱出できそうにない」(永田町ベテラン秘書)

前回の自民党総裁選で菅前首相は、党員や国民の間で人気の高い河野太郎デジタル相を担いでいる。ただ菅氏自身に再登板の目が出てくるとなれば、話は別。河野氏も菅支持に回る公算が高い。

「岸田政権が崩壊した場合の次は〝緊急事態内閣〟となる。国葬の弔辞もあり、河野氏とタッグを組んだ菅氏の人気は計り知れないほど上昇するでしょう。そして、自民党最大派閥である清和政策研究会(安倍派)97人の支持を呼び込めば、再び菅政権が実現しますよ」(菅氏側近)

麻生氏はすぐ勝馬に乗り換える

当然、旧統一教会との接点が最も多く、槍玉に挙がっている安倍派の萩生田光一政調会長ら幹部連も総裁選出馬などできる状況にない。そんな中、安倍元首相の盟友で、岸田首相の後ろ盾でもある麻生太郎副総裁がキーマンになりそうだ。

「菅氏は5月にサシで麻生氏と会い、その後も極秘で会談している。麻生氏は岸田政権が持たないと見限れば、勝馬に乗り換える。そこを見越して菅氏は麻生氏と極秘で会い、パイプを繋いでいる」(同)

菅サイドの見立てでは、自民党国会議員で菅前首相になびくのは安倍派97人、二階派43人、菅グループ約50人、森山派7人、麻生派は半数の26人…。これで自民党全体の国会議員数379人中、優に過半数以上を占めることになる。

「岸田支持は岸田派43人と、茂木敏充幹事長率いる茂木派54人を入れても100人に届かない。菅氏が立てば圧勝だ」(同)

しかも、菅前首相には自民党以外にも影響力を持つ強みがある。

「もともと、菅氏は公明党の支持母体である創価学会と太いパイプがある。万が一にも自公政権が危うくなれば、勢いのある日本維新の会の力を借りられますからね。大阪万博誘致に尽力した菅氏と維新の松井一郎前代表、創業者の橋下徹氏は信頼し合う間柄。この3氏は8月6日に都内で会食している。自公維政権も見据えているはずで、馬場伸幸代表も連立与党入りに〝可能性はゼロではない〟と含みを持たせています」(政治担当記者)

キッシーVSガーシー(参院議員)、いやガースーの戦いのゴングは鳴った。

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