『スペンサー ダイアナの決意』
監督/パブロ・ラライン
出演/クリステン・スチュワート、ジャック・ファーシング、ティモシー・スポール、サリー・ホーキンス、ショーン・ハリス
配給/STAR CHANNEL MOVIES
イギリスのダイアナ元皇太子妃がお亡くなりになってから25年が経ちました。あの日のショックは今でも忘れません。今年の9月30日には、ダイアナのドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』も公開され、見た方はきっとさまざまな映像に驚いたことでしょう。
ダイアナの強さと優しさに感動させられると同時に、とても大きな悲しみをずっと抱えていたことが、想像をはるかに超えて、リアルに伝わってきました。
今回は『スペンサー ダイアナの決意』を紹介します。これも、もちろんダイアナに関する映画なのですが、ドキュメンタリーでもなければ、実話を忠実に描いたものでもない。1991年のクリスマスの3日間を描いており、〝こうだったのかもしれない〟、〝こうだったら良かったのかもね〟という作り方です。
ダイアナ役を演じたのは『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワート。世界中に愛された人を演じるというのは、本当に難しい。実在の人物を描いた映画で、評価を大きく左右するのが〝似てる・似てない〟問題ですよね。もともとクリステンのルックスは、ダイアナにまったく似ていません。ただ今作では、ビックリするほど変身しています。正直、激似ではなくても、それが気にならないほどダイアナの感情を背負って演じています。さまざまな映画賞にもノミネートされたのも納得です。
家族と共に過ごす幸せな日のはずが…
本来ならば、家族と過ごすクリスマスって1年で一番幸せな日々のはず。でも葛藤を抱えたダイアナは豪華な家族ディナーに参加するのも辛い。信用できる人もほとんどいない。カーテンを開けっぱなしで着替えただけで、パパラッチが狙っているからと怒られてしまう。自由という瞬間がまったくないのです。そんなダイアナが唯一、本当に幸せな表情を見せるのは2人の息子たちと一緒にいる時。楽しいゲームを考えたり、本当は普通に育ってほしかったという気持ちが痛いほど伝わります。
私はラストシーンを見て、悔し涙みたいなものが流れました。まずドキュメンタリーを見て、それからこの『スペンサー』を見ると、感情をいろいろ読み取ることができて、間違いなく2倍は楽しめます。
「女性は強く生きて良い」というメッセージを世界中に広めてくれた永遠の本当のヒーロー、ダイアナ元妃。ゆっくり休んでください。
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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