北朝鮮が露骨な体制宣伝を始めた。4月下旬から米グーグルが運営する動画投稿サイト「ユーチューブ」のチャンネルに、流暢なブリティッシュ・イングリッシュを操る11歳の美少女を登場させ、金正恩総書記の功績を広くアピールしているのだ。
この少女は「イム・ソンア」と名乗り、動画は初回で24万回、最近では100万回も再生されている。会員登録も約1万2000人に膨れ上がっているが、そもそも北朝鮮では個人が海外のインターネットサイトに接続することが禁じられており、すべてが「やらせ」であることは明らかだ。
「北朝鮮のネット利用率は0.08%、総人口2500万人のうち2万人が使用しているにすぎません。これらのチャンネルには正恩氏の実妹、金与正党副部長が事実上のトップを務める宣伝扇動部が関与しているとみられます。だいたい自撮りと謳いながら、ソンアの後ろにあったガラスに、大人のテレビクルーが映り込んだシーンまであるのですから、笑ってしまいます」(在日韓国人記者)
アカウント停止を阻止するため
彼女は自ら平壌の高級マンション暮らしと述べているが、日韓の常識人ならそれだけで特権階級だと気づく。要するに何も知らない外国人への体制宣伝、英語圏向けの金ファミリー礼賛動画なのだ。外貨不足に悩む北朝鮮が、外国人旅行客を呼び込む前宣伝の効果も期待しているのだろう。
「北朝鮮分析サイトのNKニュースによれば、ソンアは抗日パルチザンの末裔で、その家系は北朝鮮の超エリート。ソンアの父親も外交官として英国の北朝鮮大使館で働いていたため、彼女はロンドン生まれです。ですから、彼女が『英語は母から学んだ』と言うように、本場仕込みなのです」(北朝鮮ウオッチャー)
北朝鮮は過去に対外宣伝サイト『わが民族同士』や『朝鮮の今日』などを通じて、主観的かつ挑発的な動画を公開してきたが、規約違反などを理由にアカウントを停止されている。
北朝鮮がソンアのような「キッズユーチューバー」を積極的に使い始めたのは、グーグルによるチャンネル閉鎖を逃れることが目的とみられる。
ソンアに罪はないが、子供を使ってプロパガンダ活動を繰り広げるとは、いかにも姑息な北朝鮮らしい。
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