秋の味覚・サンマが東京の豊洲市場で1キロ2500円(9月1日現在)。近年、サンマの不漁が伝えられる中、今年はウクライナ侵攻による日ロ関係の悪化、燃料費高騰も重なり、不漁がより深刻化している。
「1週間前は1キロ6万円。とても買えないと思っていたら、9月1日には1キロ2500円に急落した。1尾当たり200円。それでも例年の倍の値段です。しかも、小さくて細く脂がのっていない。初サンマとして、店では出せませんよ」(都内の小料理屋店主)
昨年、全国のサンマ水揚げ量は前年比38%減の1万8291トン。3年連続で過去最低となった。全国さんま棒受網漁業協同組合は不漁について「近海にサンマの群れが寄って来なかった」としている。
「5年くらい前までは、8〜9月になると鮮魚売り場に国産サンマが大量に並んでいた。シーズン前でも前年に冷凍されたサンマが〝解凍サンマ〟として1尾100円以下で売られていたんですが、近年の不漁で解凍サンマも激減した」(豊洲市場水産仲卸業者)
頭が痛い燃料問題…
8月20日、サンマの大型棒受け網漁船の出漁が解禁された。解禁前から小型や中型のサンマ漁船は出漁しているが、昨年同様、近場の漁場でサンマの外遊はほとんど見られないという。
「ロシアのウクライナ侵攻でさらに燃料費が上がった。出漁しても不漁の可能性が高いため、見合わせる漁船も出ている。国内屈指のサンマ水揚げ量を誇る北海道根室や三陸地方のサンマ漁業者は大打撃ですよ」(漁業情報センター関係者)
日本の対ロシア制裁により、大型漁船はロシア側海域での操業、航行の安全が保障されていない。ロシアは6月7日に北方領土周辺海域で日本漁船の拿捕などを防ぐ『安全操業協定』の履行中断を発表している。
「安全性を確保するため、今季のサンマ漁はロシア側の排他的経済水域を避け、南南東に進んでの公海が主になる。距離は1.5倍以上。燃料費がかさむうえ、公海のサンマは中国漁船団の乱獲で採算が取れない」(漁業ライター)
サンマは高級魚となった。
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