いよいよ〝弔問外交〟の建前も崩壊しそうだ。
日本時間9月9日未明、イギリスの「クイーン・エリザベス」ことエリザベス女王が96歳で崩御した。女王は1952年にイギリス連邦の元首として即位し、70年という史上最も長い在位期間で愛された国のシンボル。死を悼む声は世界中から寄せられており、岸田文雄首相も「心から哀悼の意を表する」などとコメントしている。
1952年といえば、日本がサンフランシスコ平和条約に批准し、「大日本帝国」から「日本国」へと再スタートすることで主権を回復した年。戦争の終結から在位し続けたと考えれば、その長さがうかがえるだろう。
「女王の葬儀は、ロンドン中心部のウェストミンスター寺院で国葬として開催される方針。現地報道によると2週間以内に行われる見通しで、国葬の約4日前からは棺が一般公開。多くの国民が追悼に訪れることが予想されます」(フリージャーナリスト)
この国葬によりピンチを迎えるのが、日本で行われる安倍晋三元首相の国葬だ。
各国首脳は安倍元首相より“女王優先”!?
「エリザベス女王の国葬と安倍元首相の国葬は、同じ日になるという文字通りの意味ではなく、短期間に相次ぐという政治的な意味で〝被る〟可能性が高い。そうなると各国首脳は、自国・イギリス・日本を弾丸で往来するハードさや、歴訪で政治的空白が生まれやすくなるのを避け、女王の国葬のみ参加するという手段を採るでしょう」(国際政治アナリスト)
この判断の裏にあるは、各国で共通している〝王室への敬意〟だ。
「どこの国の政府も、国王・女王や天皇といった王室・皇室には最大限の敬意を払うもの。元指導者であっても立場は王室の方が高く、差をつけて敬意を示す意味でも、首脳クラスはイギリスに赴き、日本の国葬には外交官や大臣・名誉職の要人派遣でお茶を濁す可能性があります。実際、カナダ・オーストラリア・インドといったイギリス連邦加盟国のトップは、確実に女王の国葬を優先するでしょう。そうなると非公式会談や会食の効果も見込めず、国葬反対の世論が多数を占める中、岸田首相が拠り所にしてきた〝弔問外交〟の建前も完全に崩壊します」(同・アナリスト)
政権にとって、国葬は〝支持率を下げるだけのイベント〟という、完全な腫れ物になってしまうかもしれない。
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