ロシア生まれの作家、ウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』（1955年刊）がスタンリー・キューブリックによって映画化され、成熟した女性とは違った少女の危うさが注目された時代。当時の『週刊実話』は、少女から大人のオンナになろうとするアイドルたちを追っていた。
●昭和57年2月18日号掲載『ヤングもアダルトも“おお!!ロリータ”』（3）年齢・肩書等は当時のまま
十六歳といえば高校一年生。それでいてバスト85センチ。この見事さが、最近とみに評判になっているのが、アイドル歌手の柏原よしえ。
「いやあ、見事というかなんというか。ビキニになったときなんか、本当にこぼれ落ちそうですからね。どう見ても、高一とは思えませんね」（芸能カメラマンのK氏）
芸能界でも評判の“デカパイ・ギャル”といえば、河合奈保子、榊原郁恵、宮崎美子がケンを競っていた。そこへいま一人、柏原よしえが加わって、いまでは、この四人を“デカパイ・クインテット”なんていっている。
後学のために申しあげると、日本人女学生のバストは平均75センチ。よしえちゃんは、同級生より10センチも大きく、ふくらんでいることになる。
それかあらぬか、そのファンも中学生・高校生のニキビ少年だけではなく、中年ファンも。
「十六歳の高校生歌手といえば、茶の間のアイドル。それが柏原よしえファンクラブには、四十五歳の中年ファンが、入会申し込みをしてきたというんですからね」（夕刊紙芸能記者）
アイドル歌手のボインちゃんといえば、河合奈保子と榊原郁恵がいる。この二人のファンクラブに中年のオジンがなんて話はきかない。それが同じボインちゃんでも、よしえちゃんには中年ファンもというのは？
「やはり全体的なセクシーさは先輩の二人とは違うみたい。顔はまだあどけないけど、それとは反対に体つきは大人っぽいですよ。ことにウエストのくびれなんか、どうみても十六歳の小娘とは思えない。このへんの色っぽさじゃないのかな」（前出記者）
B85に対し、W58、H88。なるほどこれは、セクシーなボディラインだ。
でも、当のご本人は、マンガに夢中になっている、普通の女学生と変わらない。
「週刊誌なんかには、セミ・ヌードまがいの写真が出ているけど。ボーイフレンドがいるなんて話もきかないなあ。テレビの控室でも、マンガをみながら、キャッ、キャッ、ハッていってますよ」（某歌手マネージャー）
それが一歩外へでれば、ファンは「よしえちゃん、よしえちゃん！」で大騒ぎする。去年の夏ごろといえば、まだデビュー二年目だが、それでいて深夜、ファンに自室まで押しかけられたり、あげくのはては、ビキニ泥棒まで。
「自宅といっても、GPプロの社長のところに、居候しているんです。ビキニはそこの庭に干してあるのを、夜、やられたらしいんですよ。何しろ朝晩数十人の男の子が、よしえちゃん、よしえちゃん、と毎日のように押しかけたというんですからね。そのときは、社長も近所迷惑もあるんで、大変だったらしいが…」（芸能プロ関係者）
それだけじゃない。
「最近でも、事務所には、よしえちゃんの下着をくださいなんて、へんな手紙が舞いこむらしい」（前出記者）
今や、よしえちゃんもタイヘンなものだ！
今、色づき始めた青い果実
それにしても、何が理由でこんなに騒がれたりするのか。あるテレビデレクターが、こう解説する。
「柏原よしえといえば、愛嬌のある、いわゆるカワイ子ちゃん。ちょっぴり、おちゃめな女学生ですよ。それがビキニを盗まれたり、ヘンな手紙が舞いこんだりするのは、やはりグラビアなんかでみせる、あのセミ・ヌード姿に幻惑されているんじゃないかな」
そうかも知れない。健康美というより大人のムードを感じさせるセミ・ヌード姿は、これが十六歳の少女かと見違うばかりだ。
でも、彼女自身はまだ“青い果実”のまま。
「ズバリいって、色気より食い気。いつも、人形を持ち歩いているし、友達の河合奈保子なんかと話しているのをきいていると話題は、どこそこのケーキがおいしいとか、マンガのこと。十六歳は十六歳ですよ」（人気歌手のY氏）
でも、なかには、「テレビ局の控室なんかでも、よしえちゃんは、結構、ボーイフレンドの話をしているよ」という声もあるにはある。
「この前、あるテレビ局で一緒だったんですが、控室で笑いこけているんで、ソッと覗いてみたらタノキンとか郷ひろみなんか、人気歌手のグラビアをみて、自分の好みの男性がどうのこうのって、二、三人でやっていましたよ。あれで結構、ボーイフレンドがあるようですよ」（芸能プロ関係者）
「本当かどうか、大阪から東京に出て来るとき、ボーイフレンドに自分の手作りの人形を、記念にプレゼントしたんだって。そしたらその彼から、そのお返しに“東京に行ったら注意すること”をいろいろ書いた、大学ノートをもらったらしい。よしえちゃんの宝物はこの大学ノートだっていうんだけど。その彼は初恋の人？ どうでしょうかね」（女性歌手のTさん）
十人十色。「まだ青い果実だ」という人もいれば、「ボーイフレンドもいそう」ともいわれているよしえちゃん。これを差引きすれば、その青い果実が少しずつ、色づきはじめたというところか。
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