回転寿司チェーン最大手の『スシロー』が〝おとり広告〟とビール半額キャンペーン騒動で世間から不評を買ってしまったが、回転寿司市場はコロナ禍で大幅に業績を伸ばしている。
帝国データバンクによると、2021年度の国内回転寿司市場は前年から約600億円増加して、7,400億円を超える見通しになった。大手5社の店舗数は、22年2月末時点で約2,200店。19年から150店舗増加している。
「コロナ禍でテイクアウトの需要が激増した一方、休業や時短営業を強いられた20年度と比べて、店内飲食も回復した。回転寿司チェーンのファミレス化もあって、デザートやラーメンなどの売り上げが大幅収益につながったんです」(飲食店プロデューサー)
急激な原材料の高騰でピンチ
ところが、2月下旬のロシアのウクライナ侵攻の影響で、ロシア産水産品の禁輸や物流網などの制限で世界的に魚価が高騰。回転寿司で扱うイクラやサーモンなどの入手が困難になった。
「回転寿司で子供に1番人気のサーモンは、大半がノルウェーから輸入しているんですが、ロシアのウクライナ侵攻で欧州からの航空機がロシア上空を飛行できずに主要ルートでの空輸が困難になって輸入量が激減。輸送費も高騰してサーモン価格が上昇し〝回転寿司〟が回らなくなったんです」(豊洲市場水産仲卸業者)
ウクライナ侵攻の長期化に加えて、円安が進んではコスト上昇は避けられない。業界内から「高級ネタを割安に提供するキャンペーンが打ち出しにくい」という声が上がる状況下で、スシローのウニやカニを使った〝おとり広告〟とビール半額キャンペーンの欠品が社会問題になったわけだ。
「大手のスシローが二度も失態を起こすほど、回転寿司業界は急激な円安と原材料高に苦しめられている。10月1日からスシローが最も低価格の黄皿の1皿110円を120円に値上げする。他店も背に腹は代えられませんからね。値上げに踏み切る方向ですよ」(リサーチ会社関係者)
回転寿司の税別「1皿100円時代」は、終わりを告げようとしている。
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