〝相場操縦事件〟を起こしたSMBC日興証券に対し、今夏にも金融庁から業務改善命令の行政処分が出る方向になった。金融界からは「第2の山一證券になるのでは」と危惧されている。
「かつて野村證券、大和證券、日興證券と並んで日本の4大証券会社の一つだった山一證券の損失隠しが発覚し、1997年11月に自主廃業に追い込まれた。SMBC日興証券も今回の事件で親会社の三井住友フィナンシャルグループ(FG)に見限られて、自主廃業に追い込まれるのではないかと懸念されています」(証券アナリスト)
SMBC日興證券外しに動いた…
SMBC日興証券は2009年から三井住友FGの一員となり、11年4月から、現在の商号に変更した経緯がある。
相場操縦事件では、東京地検特捜部が4月13日に同社の佐藤俊弘元副社長らを金融商品取引法違反(相場操縦)で起訴。問題となったのは、証券会社が時間外に大株主からまとめて株を安く買い取り、投資家に転売する〝ブロックオファー〟と呼ばれる取引だった。佐藤被告ら元同社幹部が関与したとみられる不正取引は、計10銘柄に及んだ。
「同社が設置した外部弁護士による調査委員会の報告書には一連の行為が会社ぐるみで行われたことを強く示唆した内容が書かれていた」(投資ジャーナリスト)
東京地検の起訴を受けて社債発行を準備していた企業が、SMBC日興証券外しに動いた。
「きっかけは財務省が東京地下鉄(東京メトロ)の株式売却を担う主幹事証券に野村證券、みずほ証券など5社を選定。SMBC日興証券を外したことで他の企業も主幹事から日興外しに転じたのです」(兜町関係者)
相場操縦事件で顧客離れが進んだ影響により、22年3月期連結決算は収益が100億円程度マイナスと推計されたことで、親会社の三井住友FGはSMBC日興証券の調査報告書の発表前日(6月23日)、インターネット金融最大手『SBIホールディングス』との資本業務提携を発表した。証券界では「三井住友FGがSMBC日興証券を切る布石」との臆測が流れている。
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