去る7月10日に投開票された参議院選挙にて、改選過半数となる63議席獲得の圧勝を収めた自民党。
これにより、結党以来の悲願である〝憲法改正〟がついに動き出し、3年後にも〝国民投票〟が実施されるという。
「今回の選挙により、改憲に前向きな、いわゆる〝改憲勢力〟は参院の3分の2を獲得。衆院は既に3分の2を押さえているため、これで憲法改正の発議が可能となります。選挙から一夜明けた11日、岸田文雄首相は、会見で自ら『できる限り早く発議に至る取り組みを進める』と発言。茂木敏充幹事長も、開票後のNHK特番で『できるだけ早いタイミングに尽きる』と語っており、いよいよ憲法改正が政治スケジュールに乗り上げました」(政治ジャーナリスト)
実は、今回改選の対象となった2016年の参院選でも、改憲勢力は3分の2を獲得していた。当時、これで改憲論議が進むと思われたが、直後に起きた〝青天の霹靂〟によって棚上げされることとなる。
「選挙のわずか1カ月後、当時の天皇陛下が、生前退位に関するお気持ちを表明しました。これで生前退位の議論や皇室典範特例法の審議が最優先課題となり、改憲論議は後回しに。退位が済んだころには次の参議院選挙を迎え、改憲勢力が議席を減らし、3分の2を失ったことで憲法改正は棚上げになってしまいました」(政治記者)
いわば現在の政治状況は、あのころ果たせなかった改憲論議が今度こそ行えるとき。当時、首相だった安倍晋三氏が、生前に憲法改正を悲願としていたこともあり、保守派が〝弔い〟と一層勢いづくことは容易に推測できる。
否決が許されない国民投票を盤石にする“奇策”
だが、コトはそう優しい話ばかりではない。改憲の可否を問う国民投票には、大きなリスクも横たわる。
「まずもって、草案が国民投票で否決されるようなことは絶対に許されない。ただでさえ戦後初の発議ですから、もし否決されたら『国民は護憲を望んでいる』と改憲ムードが急速に萎み、次のチャンスは100年後になるかも分かりませんから。他方、国民投票はそれ自体が『改憲は賛成でも個別の条文に反対』という〝各論反対〟で否決されやすい性格を持っています」(永田町関係者)
これを可決に導くため、改憲勢力の間では〝奇策〟が計画されているらしく…。
「奇しくも、次期参院選と衆議院の任期切れ総選挙は3年後。そして現在、2つの選挙に国民投票を併せた〝トリプル選挙〟が、水面下でプランニングされているようです。これは、過去二度行われた衆参同日選挙でいずれも与党が大勝しているため、与党への信任とともに、国民投票にも賛成を投じてもらおうという目論見でしょう。また、こちらも大勝を収めた小泉政権の〝郵政選挙〟のように、前代未聞のトリプル選挙という話題性で劇場型選挙にする狙いもあるよう。何としてでも可決すべく、念には念を入れ〝二重の武器〟を持つようです」(同・関係者)
もし実現すれば、施行からちょうど80年での改正が濃厚となる日本国憲法。キリのいいタイミングではあるが、果たして…。
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