熱帯場所とも異名を取る大相撲名古屋場所が、7月10日から名古屋市のドルフィンズアリーナで開催中だ。
本命は横綱照ノ富士で、初戦こそ落としたがその後連勝。対抗馬なしとされる優勝争いはどうなるか。1年間の出場停止が解け、三段目から再スタート、2日目に復帰した元大関朝乃山は、どんな相撲を見せるのか。気になる力士は多いが、そんなことに構っていられない親方がいる。
引退して2年。5月28日に引退相撲を行い、ようやくマゲ姿に別れを告げた元関脇豊ノ島の井筒親方だ。現役時代から軽妙なおしゃべりで人気があり、引退相撲の挨拶でも、
「私、豊ノ島は相手から一度も逃げることをしませんでした。それが私の相撲人生の一番の誇りです」
と胸を張り、大きな拍手を浴びていた。
いずれ返却すべく“井筒”の名
そんな若手親方が、いよいよ進退窮まってきた。7月4日、6月に故先代井筒親方(元関脇逆鉾)の長女・福薗清香さんと結婚式を挙げたばかりの東前頭9枚目の志摩ノ海が、本名を浜口航洋から福薗航洋に変更したことが発表されたのだ。
「これで志摩ノ海は正式に福薗家に養子として入り、引退後は井筒の名跡を継承して先代の死後、途絶えていた井筒部屋を再興することになったということです。すでにいつ、そうなってもいいように、改築された旧井筒部屋跡地のマンション内に準備ができています」(一門関係者)
これで困ったのが、先代未亡人から一時的に借りて「井筒」を名乗っている現井筒親方だ。志摩ノ海が引退すれば、即座に返却しなければいけないが、そのあとの目処がさっぱり立っていないのだ。
「先代時津風がトラブルを起こし、協会を解雇されたとき、一時的に間垣が空き、取得するチャンスでしたが、白鵬に横取りされてしまいましたからね。一門内にこれといった空き株はないし、部屋には師匠以外に2人の親方がいますが、いずれも定年まで間がある。一門内にはまだ元横綱鶴竜がおり、株不足は深刻です。〝豊ノ島はどうする気だ〟と協会内では噂になっています」(大相撲担当記者)
逃げ場所はあるか。
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