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参院選は圧勝でも…岸田政権を“崩壊”の危機に陥れる「3つの時限爆弾」

岸田文雄
岸田文雄 (C)週刊実話Web

7月10日投開票の参議院議員選挙は最後の追い込みに入った。

公示直後(6月22日)の各メディアの事前調査では、自民党が掲げる勝敗ラインの、与党(自公)で非改選議席70を含めた参院全体の過半数(125議席)に必要な55議席を上回るのが確実な情勢だ。

しかし、自公が参院選を圧勝したとしても、岸田政権は決して安泰ではない。「3つの時限爆弾」が岸田政権を脅かし、爆発の度合いによっては政権倒壊の危機に直面するからだ。

自民党関係者が1つ目の時限爆弾を明かす。

「この猛暑の中、毎日メディアを通して国民に呼びかけられている節電、電力不足問題です。国の根幹でもある電力が、その日の天気次第で先行き不透明というのだから、自民党支持者の間からも〝何のために税金を払っているのか。岸田政権は検討ばかりしている〟という批判の声に変わりつつあるのです」

6月末の梅雨明けから連日35℃以上の猛暑日が続き、政府は電力不足を懸念して各家庭や企業などに異例の節電を呼びかけた。

「7月は6月に集中していた火力発電所の補修が次々終わり、15の火力発電所が稼働する予定です。出力は約600万キロワット以上で、6月より供給力は約10%増える。それでも電力安定供給ラインとされる予備率の3%ギリギリです。今年3月、福島県沖地震により一部の火力発電所が停止しました。気温の低下による電力需要増加で需給が逼迫し、関東などでは最大300万軒が停電する恐れがあった。今夏、大地震や災害、事故など不測の事態で火力発電が停止すれば即、大停電になるでしょう」(全国紙経産省担当記者)

生活資源はすべて値上がり

もし、参院選期間中やそれ以降に大停電が起きたらどうなるか。

「電力をまともにコントロールできなかった岸田政権が吹き飛ぶほどの大逆風となる」(自民党関係者)

時限爆弾の2つ目は「物価高と水不足」だ。

「全国各地で観測史上最速&最短の梅雨明けとなり、懸念されるのは水不足だ。『四国の水がめ』の高知県早明浦ダムの貯水率は6月末時点で平年の半分以下。台風4号で恵みの雨となった側面はあるが、今後、影響がモロに出るのは農作物。露地物やハウスの野菜は水不足と高温で形や色が変化するうえ、収穫量もガクンと落ちる。ウクライナ情勢で燃料や肥料、餌代の高騰など物価高に加え、水不足なら空前の食糧難に陥るかもしれない」(同)

帝国データバンクが6月末に集計した主要食品会社の7〜8月の値上げは約4200品目にも及ぶ。

「この値上げは消費者、家計を直撃している。特に庶民を苦しめているのは電気代です。ウクライナ情勢絡みでLNG(液化天然ガス)や原油の高騰の影響も出始めている。これはまだ序の口。今後、単身者で1カ月1万円前後で済んでいた電気料金が倍の2万円超えはザラ。2万円だった家庭は3万〜5万円とハネ上がり、家計は火の車となるでしょう」(経営アナリスト)

実際、8月の電気料金について大手電力10社のうち、4社が値上げを発表した。東京電力の場合、標準家庭のケースでは9118円で、1年前の8月の6960円と比較すると約3割もアップする。大手ガス会社もLNGの価格高騰を受け、4社のうち3社が12カ月連続で値上げしている。

「ロシアのプーチン大統領は、天然ガス開発事業『サハリン2』から日本企業を締め出し、国有化する脅しをかけてきた。2021年は日本の輸入LNGのうち、ロシア産は8.8%で、日本の総発電量の3%を占める。輸入がストップすれば、電気やガスの料金は青天井となる」(霞が関関係者)

減税で年金も3割カットに!?

そして、3つ目の時限爆弾は、自民党政権の鬼門ともいえる「年金問題」だ。

年金問題といえば、07年に発覚し、第一次安倍政権が参院選で吹っ飛んだ『消えた年金記録5000万件』が記憶に新しい。実は、この4月から年金支給額は0.4%減額されている。これは現役世代の賃金下落と連動し、年金も下がるルールに則ったもの。

「だから65歳の高齢者の例では国民年金の満額(1人分)は約6万5000円。会社員らが加入している厚生年金(夫が40年間加入、妻は専業主婦)は約22万円になった。物価上昇の折、支給額が減るのは、年金生活者にとって大きな痛手ですよ」(社会労務士)

そんな最中、自民党の茂木敏充幹事長がNHKの『日曜討論』(6月19日)に出演した際の「消費税下げたら年金3割カット」発言が物議を醸している。

野党が物価高対策で消費税減税論を唱えるのに対し、茂木幹事長は「消費税は年金、介護、医療、子育て支援など社会保障の財源。消費税を下げれば年金財源を3割カットしなければならない」と語ったのだ。

「茂木幹事長の発言に野党や国民は恫喝だと猛反発。与党内でも〝傲慢な物言いは選挙にも影響する〟と懸念の声が上がっていたほど」(選挙アナリスト)

無風の参院選予測で茂木幹事長の口元が緩んだのかもしれないが、3つの時限爆弾はどれも岸田政権の命取りとなる。

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