ヤクルトが首位独走状態にある中、巨人・原辰徳監督が日本ハム・新庄剛志監督との連携に舵を切った。〝ツバメ独走〟に待ったをかける〝期限付きレンタルトレード〟だ。
ビッグボスはゴールデンウイーク中にも「7対7くらいのトレードをしたい」とぶち上げていた。実はこれ、巨人とのレンタルトレード計画の伏線だった。
今回は「上沢(直之)くんと(巨人の)菅野(智之)くんが代わってね。何勝かずつしたら戻る、みたいな。今年入った選手も含め、4対4くらいで1カ月半とか面白いかな」と具体案を示した。
本誌が入手した情報によれば、この突拍子もない、野球協約に抵触しかねないレンタルトレードの発案は巨人サイドだという。
「昨季から急激にヤクルトが戦闘力を増したのは、ソニーグループの『ホークアイ』を導入した成果、というのが原監督の分析です。このデータ解析システムは、2018年のサッカー・ワールドカップのVAR判定(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で一躍有名になり、ヤクルトは2020年から導入した。実証実験を積み重ね共同で熟成させ、21年から実践配備となったわけです。巨人など他球団は一世代前の『トラックマン』(弾道測定器)しかなく、その違いが現在の顕著な結果として表れている。その迎撃法こそ、今回のビッグボスとの連携なのです」(スポーツ紙デスク)
パ・リーグのデータは少ない
ホークアイは、神宮球場に設置した8台のハイスピードカメラを使い、各選手のあらゆる動きを映像とデータで詳細に数値化。試合中の投手の回転やリリースポイント、球種、配給だけでなく、野手のクセや動きも分析して、あらゆる対策を弾き出す。
その成果の代表格が、昨季本塁打王(39本)を獲得し、リーグMVPに輝いた22歳の村上宗隆だ。すでに今季は21本塁打、56打点とトップをひた走り、三冠王を狙える位置にいる。
「もはや、ヤクルトにとってセ・リーグの選手は丸裸同然だが、パ・リーグに関してはデータが少ない。とりわけ、全選手を交代で一軍起用する日本ハムの新庄チルドレンに対するデータは皆無に等しい。そこに着目したんでしょう」(同)
増田陸、中山礼都などの若手が台頭した巨人は、ベテラン陣を日ハムに容易に送り出せる。一方の原監督は、上沢や沢村賞投手の金子千尋、5年目の清宮幸太郎らを借り受け、ヤクルト戦でゲリラ的に投入し撹乱させる…。
推定年俸8億円の菅野の期限付き移籍は、日割りで計算しても超高額。現実的ではないが、「ヤクルト追い落としのためなら、甥のエースでもトレード辞さず」という原監督の強い意思表示にはなる。
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