6月5日、元横綱稀勢の里の二所ノ関親方が部屋開きを行った。場所は二所ノ関親方の出身地である茨城県・阿見町。敷地だけで約1800坪もある。
両国国技館をイメージした緑青色の屋根に土俵は2面。部屋を持って1年も経っていないが、すでに弟子は18人。たった10カ月で、早くも中堅部屋の佇まいだ。この恵まれた環境で、どんな『第二の稀勢の里』を輩出するか、興味は尽きない。
「見た目には順風満帆。でも、18人の弟子のうち、4人の幕下力士をはじめ、10人は旧尾車部屋から合流した中村親方(元関脇嘉風)の息のかかった力士です。二所ノ関親方の直弟子と言えるのは、序二段を筆頭に8人だけ。いずれ中村親方は独立する予定なので、この2派をどう上手く取り仕切るか。二所ノ関親方の懐の深い指導が求められています」(大相撲担当記者)
5年目で初めて育てた関取
勢いに乗る二所ノ関親方に啓発されたように、若手の親方たちの躍進が目立つ。次の名古屋場所(7月10日初日)で3人の新十両がデビューするが、その中の1人、西川改め豪ノ山は、元大関豪栄道の武隈親方が独立してわずか2場所で誕生させた関取だ。
武隈親方は、あまりにも順調な部屋経営に「これからが本当のスタート。自分も気を引き締めて、名古屋場所は万全な態勢で臨ませたい」と気合い十分だった。
この豪ノ山と大学時代、ライバルだった欧勝馬も、鳴戸親方(元大関琴欧洲)が独立して5年目で初めて育てた関取。10年で1人、関取を育てれば上出来とされる世界だけに、こちらも笑顔が絶えない。
対照的なのは、かつて栄光を誇った名門部屋だ。横綱玉の海を生んだ片男波部屋は、いまや力士数がベテランの玉鷲をはじめ4人だけという寂しさ。
「先場所前まで出稽古ができなかったので、玉鷲1人に幕下以下の力士2人がかりでぶつかっていく稽古をしていたそうです。この他、名門の出羽ノ海部屋、高砂部屋、田子ノ浦部屋なども関取1人で、以前の勢いはありません」(協会関係者)
栄枯盛衰は、相撲部屋でも起きている。
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