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阪神タイガース“株式上場プラン”再燃!? 球界参入狙う『ウマ娘』億万長者

阪神甲子園球場
阪神甲子園球場 (C)週刊実話Web

6月15日に開かれる阪急阪神ホールディングス(HD)の株主総会を前に、持ち株会社による球団株の上場や複数グループによる球団所有解禁の動きが持ち上がり、球界に衝撃が走っている。株式が上場されれば、球団オーナーが親会社以外から誕生する可能性があり、会社側は株主からどのような株主提案が飛び出すか、情報収集に躍起だ。

発端は、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の「貯蓄から投資へ」の流れを促進するため、5月30日に自民党の経済成長戦略本部が申し入れた提言。

「国民が1億総株主になり、成長の果実を享受できることが重要」というのがそれで、その延長線上に〝プロ野球の球団株上場〟が浮上した――。

「ターゲットは、老後2000万円問題などで自宅に眠った状態の120兆円のタンス預金で、理由は、その多くがプロ野球のファンと重なる高齢者だから。そこで政府は、株は売買によって利益を生み出すだけでなく、お得な優待が受けられたり、株主の立場から経営陣と対話も図れると…1億総株主の牽引役をプロ野球に期待した。しかし、阪急阪神グループにとって、タイガースはドル箱。危機感を募らせている」(スポーツ紙デスク)

ご記憶の方も多いだろうが、タイガースの球団株式の上場提案は、過去にもあった。元通産官僚の村上世彰氏率いる投資ファンド(通称・村上ファンド)が、阪神電鉄の株の約46%を買い占め、圧倒的な筆頭株主に躍り出た2006年だ。

“仮想敵”はサイバーエージェント社長!?

その際、物言う株主の村上氏が球団株の上場を提案。上場すれば中長期的な資金調達が可能になり、計画的な球団経営戦略が立てやすくなる。ブラックボックスのように扱われてきた監督の選出や経営内容も情報の公表が義務付けられ、詳細に分かると説明した。

この合理的な提案に共感する虎ファンは多かった。ただ、虎を人質に取る形の阪神電鉄乗っ取り劇だったため、批判や反発がそれ以上に強かったのも事実だ。

「最終的には、阪神電鉄が阪急HDとの経営統合を阪急HD側に提案し、合意しました。これを受けて、村上氏は阪急HDによる阪神電鉄株の公開買い付け(TOB)に応じ、球界初の球団株上場は消滅したのです。しかし、今回の株式上場提案は国の方針に沿うもので、前回とは状況がまったく異なります。しかも、相手はヒールではなく、人気の高い〝あの会社〟。相当に手強いと構えています」(同HD幹部)

本誌が入手した情報によれば、〝仮想敵〟とされるのが、球界参入を狙っているサイバーエージェント社の藤田晋社長だという。

同社は10年以上前からヤクルトスワローズの買収に意欲を燃やしてきたが、とん挫。スワローズの株主は、ヤクルトが80%で、残り20%がフジテレビである。

一方、サイバーエージェントが開局したAbemaTV(現ABEMA)は、テレビ朝日との共同出資。ヤクルト・フジ連合は頑として買収に応じなかった。

とはいえ、同社は堅調なインターネット広告事業に加えてゲーム事業でも『ウマ娘 プリティーダービー』が大ヒット中で、藤田氏の個人資産は数千億円に膨らんだといわれる。タイガースの球団株が上場されれば、大量の株取得による買収、または共同経営は十分可能だ。

その藤田氏の球界参入の後ろ盾になっているのが、楽天の三木谷浩史会長だ。この2人は、ITの戦略的な利活用を軸に新産業を発展させていく『新経済連盟』のツートップ。藤田氏は三木谷氏をビジネス展開の手本にしており、4年前にはJ2の『町田ゼルビア』を買収し、サッカー事業にも進出している。

打倒! 孫ソフトバンク会長

そんな両氏にとって目の上のたんこぶが、ヤフーなどの企業からなる『日本IT団体連盟』を率いる孫正義ソフトバンクグループ会長。勢力地図の塗り替えに、三木谷氏は藤田氏の球界参入を心待ちにしている。

「ソフトバンクに匹敵する戦力を整えるには、巨大な資金が必要。そこで三木谷氏はオーナー会議で、球団株式の上場を提案してきたが受け入れられなかった。しかし、今回の自民党『1億総株主』で潮目が変わった。野球の聖地・甲子園球場を開閉式&天然芝のドーム球場にするには巨大な資金が必要で、所有者の阪神電鉄だけでは難しい。だが、球団株式を上場すれば容易。三木谷氏と連携する藤田氏は、それを示すことでプロ野球の新たな経営に一石を投じたいのだろう」(前出・スポーツ紙デスク)

その突破口が、今回の阪急阪神HDの株主総会。直近の真弓明信、和田豊、金本知憲前監督らは全員、株主総会で監督交代を要求され、オフに退陣した。今年は、プロ野球史上最悪のスタート(開幕から17戦で1勝)となった矢野監督が俎上に載せられる。

それでも株主総会の主体は阪急阪神HDの経営の評価にあり、タイガースの監督問題は客体。気を揉むのは、球団株式の上場問題だ。

岸田政権の新経済成長戦略「1億総株主」は、第2次世界大戦中に大政翼賛会が掲げた「進め1億火の玉だ」を思い起こさせるが、コロナ禍で疲弊した日本経済が本来の姿を取り戻すには、戦時下並みの国民の協力が必要ということか。

球団株の上場再燃は、ホリエモンこと堀江貴文氏の球界参入で揺れた2004年以来の激震。阪急阪神HDの株主総会から目が離せない。

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