新型コロナウイルス禍、原油高騰、ロシアのウクライナ侵攻、円安などの影響により、配合飼料の価格も上がり、全国の畜産農家が「もはや限界!」と悲鳴を上げている。
昨年は、米国産牛肉の輸入大幅減でミートショックが起き、庶民の台所を苦しめたのは記憶に新しい。その間、牛、豚、鳥などの飼育に使うトウモロコシなどの穀物を原料とする配合飼料の価格も高騰。2月時点で1トン当たり8万3323円。この2年間で実に、約24%も上昇しているのだ。
「飼料価格の値上がりが始まったのは、2020年秋頃から。小規模な養豚業者が多かった中国で、配合飼料を使う企業養豚が急成長した結果、原料となるトウモロコシなどの需要と供給のバランスが崩れたんです」(大手商社マン)
日本の飼料自給率は25%にとどまっている。輸入に依存しているため、原油価格高騰や円安の影響をモロに受けやすい。しかも、畜産農家の飼料は世界有数の穀物輸出国のロシア産やウクライナ産のトウモロコシなどを配合した飼料を使うため、ウクライナ情勢は価格に直結する。
飼育する家畜がいなくなる…
「これまで日本各地のブランド牛の畜産農家では、育てた牛を出荷する際、その分の子牛を買っていたんです。しかし、今は収入が餌代に消えて、買い付けを控えている。このままだと、畜産農家は飼育する家畜がいなくなり〝生活できなくなる〟と嘆いていますよ」(大手乳業メーカー社員)
配合飼料については国や飼料メーカー、生産者が拠出する基金を活用した価格上昇分の補填制度があり、独自支援に乗り出す自治体もある。
「しかし、算出基準や予算額などの関係で、補填は十分と言えない。ましてや、配合飼料の価格高騰が続いている状態では、焼け石に水。しかも、支払われるのは数カ月先。それまで畜産農家が持ちこたえられるか心配です」(同)
モー、耐えられない。
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