公開中の映画『シン・ウルトラマン』が、目下、大ヒットを記録している。その勢いは今年度実写ナンバーワンも確実視されるほどだが、この映画の元ネタが〝オマージュ作品〟であることをご存じだろうか。
同映画原作の『ウルトラマン』は、60年近くたつ今なお新作が作られる大人気シリーズの1作目。だが、厳密には前作の『ウルトラQ』がシリーズ第1作にあたり、「シン・ウルトラマン」にも「ウルトラQ」をなぞらえたシーンが登場する。
この「ウルトラQ」、元はといえばアメリカのSFテレビドラマ『トワイライト・ゾーン』を〝かなり意識して作られた〟ことはあまりにも有名だ。
「テレビ版『トワイライト・ゾーン』の放送期間は1959年から64年と、66年開始の『ウルトラQ』の直前。両者は世界観や作風までよく似ており、時期的に『ウルトラQ』がかなりオマージュしたことがうかがえます。あの印象的な効果音のテーマ曲や、冒頭のナレーションなんてソックリ。差別化しているのは怪獣の有無くらいです」(サブカルライター)
だが、こうした〝リスペクト〟も、かつての日本ではあらゆるジャンルで当たり前に行われていたことだ。
家電も自動車もキャラクターも…
「1961年、カラフルな糖衣と筒の入れ物で今も愛される『マーブルチョコレート』が明治製菓より発売されました。しかし、この外見とパッケージは、ネスレが1937年に発売した『Smarties』とほぼ同じ。製菓業界でいうと、不二家のペコちゃん・ポコちゃんもアメリカのキャラクターのオマージュであることが、80年代オタク文化の仕掛け人・高橋伸之氏から明らかにされています」(同・ライター)
高橋氏は2013年にFacebookで、ペコちゃん・ポコちゃんが米・ゼネラルフーズ社『バーズアイ』のキャラクター・メリーちゃんとボーイフレンドに酷似していることを指摘。これは、批評家・岡田斗司夫氏のニコニコ生放送でも拡散され、一挙に広まることとなった。
「こうしたオマージュでも特に目立つのは、家電や自動車といった工業製品。『ポルシェ924』とマツダの『RX-7』、『フェラーリ』と『フェアレディ』をはじめ、かつての日本車は欧米のデザインや名前を意識しまくっていました。家電部門も、スマホは『iPhone』、サイクロン掃除機は『ダイソン』、ロボット掃除機は『ルンバ』と、普及し始めのころは王道製品を明らかに真似たモノが溢れ返っています」(エンタメ誌編集者)
模倣品といえば中国をイメージする世代は多いことだろう。だが、かつての日本も同じ道を辿っていたのだ。
「戦前から高度成長のころ、日本は他国の模倣品を低価格で輸出し、欧米からバッシングを受けていました。その後は世界一の工業大国となり、今度は中韓や台湾が日本製品を模倣、低価格低品質で世界へ輸出するように。しかし、今ではシャオミやファーウェイ、サムスンなどが世界を席巻しており、〝安かろう悪かろう〟は過去のものになっています。いわば歴史は繰り返すもので、発展途上国は先進国を模倣するんですよ。日本が良くないのは、自身も模倣大国だった過去を持ちながら、中国他アジアをことさら非難したことですね」(経済誌記者)
ある程度は〝お互い様〟ということか。
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