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『恋い焦れ歌え』/5月27日(金)より全国順次公開~LiLiCo☆肉食シネマ

(C)2021「恋い焦れ歌え」製作委員会

『恋い焦れ歌え』
原作・監督・脚本/熊坂出
出演/稲葉友、遠藤健慎、さとうほなみ、髙橋里恩、松永拓野、水澤紳吾、瓜生和成、中村まこと、黒沢あすか、小久保寿人
配給/フューチャーコミックス

本誌をご愛読の皆サマは、私がナビゲーターを務めているJ-WAVEのラジオ番組『ALL GOOD FRIDAY』を、聴いてくれていますか? 東京を中心に放送している番組なんですけど、私と一緒に4時間半、盛り上げてくれているのが稲葉友くん。スタートした頃は23歳で、今はもう29歳! 俳優としてのキャリアは長く、勉強熱心ですし、ラジオナビゲーターとしても頭の回転の速さに、みんなが魅了されています。なぜか私はこの番組ではボケ担当です(笑)。

そんな稲葉くんとのやりとりが居心地良く、毎週打ち合わせを入れると6時間以上も話しているのに、飽きることなどなく、長いと感じたことは一度もない。番組内で、お互いに好きな1曲を選ぶコーナーがあり、いつもラップっぽい曲を選ぶ稲葉くん。知らない曲が多いけど、曲が終わってから丁寧に説明してくれるので、日本のラッパーの名前もだいぶ覚えました。

そんなラップをこよなく愛する稲葉友の初主演映画が公開! となれば、私は母親になった気持ちで見に行きます。稲葉くんが演じる桐谷仁。小学校の臨時教員だけど、正規教員の将来も見えて、奥様もいて、幸せな日々を送っていた。しかしある夜、男性に性的に襲われてしまうのです。身体と心の傷、そしてトラウマによって、彼の人生が少しずつ変わり始めます。

今の時代に見てほしい1本

そして、数カ月経って現れたのは、あの夜の出来事と関係があると言う男・KAI。さまざまなバックグラウンドを持った人々が暮らす工場地帯に連れて行かれる桐谷。不安でいっぱいですが、痛い目に遭わないよう、言われることに従うしかない。そんな中、ラップで表現するシーンがあって、その瞬間に私の母性本能が沸騰! 〝あ~! 神様は、稲葉友にこの役を用意してくれたのね〟…と。

本人も、脚本読んだ時にシビれたと言ってて、かなりヘビーなテーマではありますが、今の時代にみなさんにも見てほしい1本。桐谷が周囲によって何を感じ、どう変わっていくのか、人と人との物語です。出演している人たちの個性、そして、すべてを情熱と命懸けでやっているのが痛いほど分かります。今まで映画で見たことのない世界観のニオイも感じました。

これが初主演作であることには大きな意味があります。ラジオのキャラとは違う稲葉友を味わってみて!

LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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