球審に詰め寄られたあの余波は、まだしばらく続く――。
「令和の怪物」こと佐々木朗希が〝復活〟した。5月6日のソフトバンク戦で6回を投げ、被安打6、失点1、奪三振数11。勝利投手にはなれなかったが、「詰め寄り事件」の精神的ショックは完全に払拭されたようだった。
「佐々木が球審に詰め寄られたのは、4月24日。際どいコースに投じられた一球を『ボール』と判定され、それに不服そうな表情を見せたというのが球審側の主張です。でも、佐々木は反抗的な態度は見せていません。その程度で腹を立てるほうがおかしい、と」(ベテラン記者)
その後、NPB(日本野球機構)も、注意するのであれば「ほかに方法があった」とコメント。しかし、これで一件落着とはいかなかった。
「選手会との事務折衝にも影響が出ています」(球界関係者)
去る4月28日、NPBと日本プロ野球選手会がオンライン形式による事務折衝を行った。ここで今季中の実施を目指す「現役ドラフト」の骨格案がNPB側から示され、選手会が持ち帰って議論する予定だった。しかし、そうはならなかったのだ。
「審判問題を緊急で取り上げることになったんです。審判員の技術向上、選手への対応について意見交換されました」(同・関係者)
プロ野球界全体のイメージダウンに
詰め寄り事件があったのは、24日。追加提議されたとすれば、翌25日以降となる。NPBは3日と掛けずに〝回答書〟を用意しなければならなかったわけだ。
「選手会もNPBの対応に感謝していた」とのことだが、こんな指摘も聞かれた。
「7月のオールスター戦前、選手会は臨時総会を開き、ここで、NPB側が28日に提示するはずだった現役ドラフトの骨格案について話し合うつもりでした。具体案の提示が遅れたとなれば、今年度中の実施は難しいかも」(同)
事件による悪影響と言っていいだろう。
「普段、プロ野球情報を扱わないワイドショーやニュース番組でも詰め寄り事件のことが取り上げられました。NPB、選手会ともにきちんと対応しなければ、プロ野球界全体のイメージダウンになってしまいます」(前出のベテラン記者)
出場機会に恵まれない選手を救う現役ドラフトの新制度も大切だが、怪物・佐々木の未来と、球界のダメージには代えられない。もうひと波乱起こりそうだ。
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