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森昌子「紅白のトリも無事つとめたわ、今年こそいい人見つけたい」【週刊実話お宝記事発掘】

森昌子
森昌子 (C)週刊実話Web

コンプライアンスの厳しい現代では「不倫」をしただけで犯罪者のように扱われるが、昭和の時代は実におおらか。“浮気も芸の肥やし”程度だったが、当時の人気者たちは、どんな恋愛観を持っていたのか。

●昭和57年1月21日号掲載『独身人気スターの恋愛観』(3)年齢・肩書等は当時のまま

NHK恒例の紅白の「紅組トリ」を見事こなした森昌子。

同年代の百恵、さゆり、淳子らに比べると、ちょっと色気不足だった昌子ちゃんも、そろそろお年頃。歌の実力からいうとNO.1なのだが…。

岩崎宏美が、こんな打ち明け話をしたことがあった。

「芸能界同期生って、あるのかも知れませんね。昌子ちゃん、百恵ちゃん、さゆりちゃん、淳子ちゃん…。みんな同年配。でも、ひとりひとり性格が違うから楽しいわ。百恵ちゃんは、すごい大人で、聞き上手だった。わたしが悩みを話すと、しばらく黙っていてから、ことば少なにポツンということばに、すごく重みがあったの。反対に、淳子ちゃんは子供ね。それでいて『あんたは子供だからダメよ』なんていうのよ。さゆりちゃんも、やっぱり大人。それに引き替え昌子ちゃんは、旅先で枕投げをしたかと思うと、大人っぽくてお説教くせがあったりするのよ」

テレビをみているだけのファンも、おそらくなるほどと思える指摘のはずだ。しかし、同年齢でお互い親しくとも、デビューした時期からみると森昌子が最も先輩だ。日本テレビ『スター誕生!』から文字どおりスターになった第一期生である。

その決戦大会に出かけたホリプロ・堀威夫社長が、抜群の歌のうまさにほれ、顔やスタイルは二の次のこととの判断から「ぜひともわたしのもとに…」と願い出たことは、あまりにも有名だ。

事実、ホリプロの将来をになうエリートとして扱った。日本テレビが、ホリプロの「昌子がほしい」との申し入れに簡単に応じたのは、当時、渡辺プロとの対立が激しく、番組自体も渡辺プロの芸能界独占に歯どめをかけるネライがあって企画された経緯があり、渡辺プロに対抗できるプロダクションとして、ホリプロに寄せる期待が大きかったからだ。

どうしてもっと自由にさせなかったのか…

昌子をエリートとして扱うばかりか、堀社長はまるでわが子のようにかわいがる。おかげで百恵のごときは、隅に追いやられ、月給もわずかしかもらえなかった。東宝の正月映画には必ず登場するようになっても、またテレビの連続ドラマで高視聴率を稼ぎ、レコードがとぶように売れ始めても、そのランクづけを変えようとはしなかったのだ。

百恵とは事務所で顔を合わせても、ろくに話そうともしない堀社長なのに、栃木県宇都宮市に近い田舎から、昌子の母親が「上京」すると、さっそく社長室に案内し、もてなすほど態度を変えた。そのため、従業員のなかではこうも囁かれたのだ。

「昌子かわいさもあろうが、母親と親しいんじゃないのかね、うちの社長は…。カネはあるし、知らぬひとはいないくらいなんだから、銀座のクラブへ出かけてもモテるだろうよ。不思議なひとだなあ」

確かに昌子の、デビュー後三、四年の稼ぎはすさまじかった。ホリプロの拡大過程を追うと、和田アキ子に続き昌子が支えになっている。そのあとが百恵だ。だが、そのためのネコかわいがりがたたり、昌子はいつしか、艶ない演歌歌手になりになりさがってしまった。

「顔、スタイルが抜群の子ならばとにかく、そんじょそこらにいる子と変わりないのに歌まで艶がないものとなってしまっては、スター歌手の座にとどめておくのがやっとになるのは当然で、どうしてもっと昌子を自由にさせなかったのかなあ。もっとも、虫よけは昌子の母親が堀さんにたのんだ結果、という話もあるけどね」

ホリプロに強い芸能ジャーナリストの、これは証言だ。おかげで、昌子は所属タレントの素行面での優等生になる。しかし、百恵や、さゆりはそんなことは意にも介せず、自分の思いどおりの行動を示した。

スキャンダルとして、ゴシップとして盛んに書かれる。当然、昌子の目にもその活字はとまったはずだった。マネジャーのひとりは、いってはならぬことを、ふともらし、苦笑する。

あまりにもスター歌手らしくなく…

「自分は、百恵らとは違うんだの意識であきらめ、ソッとひとりで満足できる方法をとっているようですよ」

昌子に何気なくただすと、まだ小娘のようなこんな返事をし「ヤアダー」といって笑った。

「ほしいかほしくないかって、意識でどうにでもおさえられますよ。男のひとって、どうして不潔なことから先に考えるのかしらね。ひとりで満足する方法だなんて…」

この昌子にも最近、恋の噂が立った。マネジャーと親しい関係になったというのだ。昔から、道徳論をかかげる向きは別として、マネジャーとはすぐにできる、というよりは、仕事をスムーズに運ぶうえでマネジャーは担当タレントにまず手をつけるというのが、芸能界公認の特権だった。

なのに今さら、そのマネジャーとの恋が噂され、昌子が「ヤアダー」と否定した途端に、消え去ってしまったというのでは、あまりにもスター歌手らしくなく、むしろ悲劇的な印象すら与える。モテたのは、マネジャーだけにか…と、ファンは思うであろう。

「実際のところ、そうなんじゃないですか。女って不思議なもので、男と違って遠ざかれば遠ざかったで、それですむものらしいですね。昌子が相変らず未経験とは思えない、おそらく経験してるでしょう。デビュー直後には、あれこれ噂もありましたし…。でも、その後は過保護から寄せつけようにもできなかったはずです。だが、その結果がマネジャーとの恋ではねえ…。悲劇的という以外にないですね。顔、スタイルをうんぬんするひとは多いが、あれでけっこうかわいんです。放っておけば、もっともっとモテたに違いないんですよ」

民放テレビの歌番組担当スタッフは、この見方に異論はない。でも、周囲がうるさく手を出そうにも出せないですごしてきたらしい。いったんそうした環境が作られてしまうと、昌子のほうから「寂しいから…」などとはいえなかろうし、ほかに打つ手は見当らないのだ。

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