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正月のハワイといえば芸能人~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

島田洋七 
島田洋七 (C)週刊実話Web

少し前まで正月にハワイのホノルル空港に到着する芸能人を、芸能リポーターらが待ち受けている映像がテレビでよく流れていましたね。俺も忙しいころは、正月に家族とハワイ旅行へ行きましたよ。

ホノルル空港へ到着すると、案の定、報道陣が待ち構えていた。

先頭には知り合いのテレビ局のカメラマンがいた。でも、俺らが現れるとカメラを下ろして「あけましておめでとうございます」だと。思わず「映せー」とツッコミました。

そして、記者からコメントを求められた。俺はお笑い芸人だから「プライベートは映さないで」なんて断らないですよ。「夢のようです。芸能人になったみたいですわ」とサービス満点でコメントすると、「洋七さんも芸能人ですよ」と指摘されましたが、それはある意味、本心だったんです。まさか家出同然で佐賀を飛び出して、漫才で売れてハワイに正月旅行するなんて夢にも思わなかったですもん。

ハワイでは、昼間は子どもたちと遊んだり、観光地巡りをしましたね。人気のスポットであるハナウマベイは遠浅で魚がたくさんいる。ソーセージやパンを餌まきすると、たくさんの魚が集まってきた。タクシーの運転手さんに「魚、美味しそうやね」と話しかけると、「パンの味がします」と返すから思わず笑ってしまいました。日本人観光客相手にそのギャグをよく使っているんでしょう。

ディスコにスタローンが!

夜になると、たけしが軍団を連れて来ていたから、一緒に飲みに行ったんです。日本でもたけしとは、休みに何度も旅行してましたね。例えば札幌では、700~800人ほど入るディスコに行ったとき、俺らが店にいることに気づいたお客さんが200~300人くらい押し寄せてきた。店員さんが「押さないでください!」と制止したんですが、若い人が多いうえ、お酒を飲んでいるからどうしようもない。人の波に押され、ガラスが割れてしまった。店から弁償しろとは言われなかったけど、「無防備に俺らがこんな人の多いところへ来ること自体が間違ってました」と約30万円弁償しましたね。

他にも、金沢へ行った際、兼六園を観光していると、修学旅行生に見つかってしまった。たけしと俺は逃げましたよ。10人くらいまでなら握手もするけど、数百人になると異常な雰囲気になりますね。集団心理が働くとでも言うのかな。

話をハワイに戻すと、たけしたちとはあっちでもディスコへ行ったんです。店内を見回すと、アメリカ人たちが楽しそうに踊っていましたね。そのとき、店内にシルベスター・スタローンがいたんですよ。映画『ロッキー』の大ファンだった俺は、スタローンのところへ一目散に駆け寄りました。

スタローンは想像より背が小さかったけど、アロハシャツの上からでも筋骨隆々でガッチリしているのは一目瞭然でしたね。

「ロッキー、ムビースター、ベリーベリー、フェイマス」

スタローンの名前が出てこなくて英語も分からないから、そう言い続けながら1分間くらい握手していました。すると、スタローンのガードマンから100ドルを渡されたんです。席に戻ってたけしに「金をもらった」と伝えると、「そりゃあ向こうへ行けということだろ」と言われましたね。

島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。

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