3月22日にまん延防止等重点措置が全面解除された。
営業時間短縮要請に応じた飲食店の協力金申請の受け付けは始まっているが、この2年間、コロナ禍で売り上げが大幅に減少した外食産業が、時短協力金を営業外収益や特別利益として計上し、〝時短太り〟の実態が浮き彫りになった。
リサーチ会社などの調査によると、牛丼店の『すき家』などを運営する業界最大手『ゼンショーホールディングス』は2022年3月期連結決算の売上高と営業利益を下方修正したが、時短協力金の寄与で純利益は141億円になる見込み。
「21年4月~同12月期の緊急事態宣言下に支払われた時短協力金215億円を特別利益に計上し、最終損益が100億円強の黒字になったのです」(経済ライター)
同じく『吉野家』の『吉野家ホールディングス』も、時短協力金と雇用調整助成金の合計93億円を営業外収益とした結果、21年4月~11月期の最終損益は61億円の黒字となった。
“時短太り”と倒産の激しい落差
「ファミリ―レストランの『ガスト』や『バーミヤン』などを展開する『すかいらーくホールディングス』も、21年12月期の最終損益は87億円の黒字。『ロイヤルホスト』の『ロイヤルホールディングス』は29億円の赤字でしたが、従来予想は50億円の赤字でしたからマイナス幅を短縮できた。時短協力金などが最終損益で貢献しました」(公認会計士)
その他の上場外食企業を見ても、営業損益段階では赤字だが、時短協力金などに救われている。その一方で売り上げが低かった個人商店なども〝時短太り〟している例が多々ある。
「個人商店主の中には高級外車を買ったり、家を改築したりした〝コロナ成金〟までいる。反対に、時短要請や休業要請で倒産する店も続出していますから、あまりに不公平ですよ」(都内の居酒屋店長)
「緊急事態宣言やまん防が発令されるたびに、上場外食企業や一部の個人商店が〝時短太り〟する。庶民感情としては納得いきませんよ」(消費生活ライター)
時短太りが起こらないように、政府は協力金システムの改善が急務だ。
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