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センバツ甲子園“大波乱”の予感…番狂わせをニオわせる刺客校の実力

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甲子園 (C)週刊実話Web

「波乱の大会」が幕を開ける。3月18日に開幕を迎える第94回選抜高等学校野球大会、通称センバツ甲子園が、今年は例年以上の大波乱となる予感が――。

昨秋の明治神宮大会決勝で広陵(広島)を下し初優勝した大阪桐蔭(大阪)を、優勝候補に推す声は多い。

スポーツライターの豊島純彦氏が、その戦力を次のように評する。

「エースの別所孝亮もいますが、新2年生の左腕・前田悠伍もいい。きれいな投球フォームで、力感がないのに『なんでこんなに速いボールが投げられるのか?』と思いました。スライダーのキレも良く、制球力もバツグンです。そして、昨秋大会で4番を務めた巨漢の丸山一喜も注目です。投打ともに選手層が厚い」

センバツは、投手で勝ち上がっていく大会といわれる。冬場の基礎トレーニングシーズンが明けたばかりで「生きたボール」を打つ機会も少ないからだが、好投手はほかにもいる。「波乱の大会になる」といわれているのは、そのためだ。

「大垣日大(岐阜)は、けっこうヤバイですよ」(スポーツライター・飯山満氏)

大垣日大といえば、東海地区準優勝校の聖隷クリストファーを差し置いて代表2枠に選ばれ、日本中が首を傾げた。しかし、そんな好奇の目を変えたのが「投手力」だった。

「エース左腕の五島幹士は、変化球が多彩。中学時代に国際大会を経験しただけではなく、MVPにも選ばれました。打撃でもスイッチヒッターとして非凡なセンスを見せています。2年生右腕の山田渓太は力強いボールを投げていました」(同)

この2枚看板で選出されたわけだが、それだけではないという。

離島の学校が旋風を巻き起こす!?

「ヤバイと言ったのは、2枚看板ではなく、『3枚』だからです。昨秋は肩の故障で投げていないエースが出てきそう。昨季大会で『1番』を背負った左腕・三松将也が癒えていると聞いています。故障にしても、名将・阪口慶三監督が彼の将来を思って大事を取らせただけ。基礎トレを徹底させられ、角度のあるストレート、スライダーともにキレが増した、と。同校の怖いところは3投手とも打撃力も高いこと」(同)

プロ注目の好左腕は、まだいる。今大会は離島の学校が旋風を巻き起こすかもしれない。

「鹿児島県の大島は要注意です。大野稼頭央は150キロ近いストレートを投げます。昨秋の九州大会では2試合連続で延長13回タイブレークを投げ抜きました。心身ともにタフで、相手校選手を見に来ていたプロスカウトたちが、慌てて指名リストに加えたそうです」(同)

昨秋大会中、移動時間に片道12時間を要したという。大野が表舞台に出てこなかったのは「離島なので、練習試合も限られていた」(関係者)のが理由だ。

そんな新星と対戦するのは、茨城の明秀日立。前出の豊島氏がこう分析する。

「神宮大会では広陵に敗れましたが、バットスイングの鋭さでは明秀日立のほうが上でした。公式戦10試合14本塁打という強力打線で、クリーンアップも任されているエースの猪俣駿太は、フォークボールを得意とする好右腕です」

離島の左腕と強力打線の対決は名勝負となりそうだ。

また、学校関係者は「大丈夫」と否定するが、不安要素を抱えているのが木更津総合(千葉)だ。エースの越井颯一郎は昨秋の関東大会で好投したが…。

「投球フォームを改造しました。投げるときに雄叫びを上げるクセがあり、『直したほうがいい』ということになったそうです。以後、コントロールにバラツキが出て、周囲も心配していました。地方局の取材では、『もう大丈夫』と答えていましたが」(前出・飯山氏)

大谷翔平の母校にプロ注目のスラッガー

雄叫びを封印した背景には、2015年夏の甲子園大会がある。千葉・専大松戸の投手が、甲子園で〝注意〟を受けた。県大会では不問だった二段モーションが、甲子園大会で引っかかったのだ。「本大会と地方で基準を統一してくれ!」の切実な思いは今も県内に残っており、雄叫びの封印は万が一に備えたのだろう。

「山梨学院(山梨)の榎谷礼央、天理(奈良)の南澤佑音、京都国際(京都)の森下瑠大も前評判が高い。京都国際で背番号9を背負う平野順大は、昨春、背番号1を付けていて、好投手が2人いるようなもの。市立和歌山(和歌山)の米田天翼も面白い。今季、DeNAにドラフト1位入団した小園健太を見に来ていたプロ野球のスカウトたちが、2年連続での同校からの指名もニオわせていました。昨夏府大会で大阪桐蔭に惜敗した金光大阪(大阪)の古川温生もリベンジに燃えています」(学生野球担当記者)

豊島氏は浦和学院(埼玉)も「要注意」だという。

「新3年生に九州からの越境入学者が多く、エース左腕の宮城誇南は沖縄県出身です。昨夏の甲子園も経験しており、どれくらい成長しているのか楽しみです」

打者では、〝二刀流〟の大谷翔平らを輩出した花巻東(岩手)の佐々木麟太郎が注目されている。両肩の手術からの復帰となるが、117キロの巨漢から繰り出すパワースイングで、まだ2年生でありながら、すでに通算53本塁打を記録している。

快投と大アーチで、代表校選出のモヤモヤも吹っ飛ばしてほしいものだ。

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