社会

東日本大震災から11年…迫り来る“M9クラス日本海溝巨大地震”Xデー

(画像)CREATISTA / shutterstock

東日本大震災(2011年3月11日)からもうすぐ11年となる。

「日本列島は千島海溝、日本海溝巨大地震発生が刻々と差し迫っている」と専門家から指摘されており、その兆候の1つではないかとみられる地震が宮城県沖で起きた。

2月18日午前11時55分頃、宮城県沖を震源とする地震があり、同県北部・中部で震度4を観測した。気象庁によると、震源の深さは約50キロメートル、地震の規模を示すマグニチュード(M)は5.2と推定されている。

今回の宮城県沖地震が起きたことで不安視されているのが、日本海溝と千島海溝で発生する巨大地震だ。日本海溝地震は青森県の東方沖から千葉県の房総沖にかけての領域、千島海溝地震は北海道の択捉島沖から十勝地方の沖合にかけての一帯で起きる地震である。

「いずれも海側の太平洋プレートが陸側に沈み込んでおり、そのプレートの狭間でこれまで地震が起きてきた。構造は南海トラフと同じです。千島海溝、日本海溝のエリアでも巨大地震が繰り返し発生してきました」(サイエンスライター)

武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏が続ける。

「この地域の地震は津波によって運ばれた土砂などの津波堆積物の調査によってしか分かりません。それを調べることによって、17世紀にはこれらの領域が一度にずれ動くような巨大地震が発生し、内陸まで押し寄せる大津波が襲来したと想像することができます。文献に残されている西の方(関東より西)で発生した地震とは違うのです」

4万人以上が避難しても助からない!?

日本海溝沿いでM9.1の巨大地震が発生した場合、東北地方や北海道の各地で10メートルを超える津波が押し寄せるという。千島海溝沿いはM9.3の巨大地震を想定しており、北海道東部を中心に20メートルを超える大津波が襲来。最大で北海道えりも町で27.9メートル、北海道釧路市でも20.7メートルの高さにまで達するという。

昨年12月21日、内閣府の中央防災会議の作業部会が公表した2つの巨大地震による被害想定は目を疑うような甚大なものだった。日本海溝がモデルの地震の場合、最悪で約19万9000人の死者を出し、経済的被害は約31兆円にも及ぶ。

「国は地震発生時を細かく分けて分析している。もし冬の深夜に巨大地震が起き津波が発生すると、屋根への積雪で建物が倒壊しやすくなり、外への避難が難しくなるほか、路面の凍結や積雪でスムーズに避難できないことが考えられ、死者の数は最悪の場合、北海道で13万7000人、青森県で4万1000人、岩手県で1万1000人、宮城県で8500人など計約19万9000人に達するとしているのです」(全国紙社会部記者)

この死者数の中には、たとえ津波対策で高台に避難できたとしても、約4万2000人が屋外で過ごすことによる低体温症で死に至るリスクがあるという。

内閣府は「津波避難ビルやタワーの整備、建物の耐震化などに加えて、住民の避難意識を向上させることで死者を8割減らすことができる」と推計しているが、机上の空論でないことを願うばかりである。

『福徳岡ノ場』再噴火の可能性も…

1月15日、トンガ沖で海底火山が1000年に一度の巨大噴火を起こし大津波が発生した。環太平洋造山帯が活性化しているため、太平洋の周囲に位置する国々では地震、火山の活動が活発になっているのだ。

「日本の海底火山は陸上の火山よりも大きい。トンガの噴火を遥かに超える破局(カルデラ)噴火を起こす可能性があるんです。しかも、伊豆・小笠原からサイパンにかけての太平洋プレート境界線上には、その破局噴火が起こりうる火山が多く、非常に危険なエリアと言えます」(前出・島村氏)

日本に甚大な被害をもたらした破局噴火でいえば、約7300年前の「鬼界カルデラ噴火」を最後に起こっていない。

「昨年8月に噴火が起きた小笠原諸島沖の『福徳岡ノ場』も海底火山です。あの規模の噴火が小笠原諸島周辺海域で起きたのは初めてでしたが、今後、再噴火もある。福徳岡ノ場は北福徳カルデラ内の中央火口丘と考えられる。ということは、さらにスケールの大きい破局噴火を起こす可能性があるということです」(前出・サイエンスライター)

カルデラは火山活動によってできた凹地で、小規模の噴火は主にカルデラの周縁で起きるが、大規模噴火はカルデラそのものから発生する。大規模噴火では、噴出するマグマの頂が内側に崩れ落ち、カルデラの凹みはさらに大きくなる。一方、小規模噴火は地下にマグマがゆっくりと溜まり続け、将来の大規模噴火を準備しているという。

では、太平洋上で破局噴火が起きると、日本にどのような被害をもたらすのか。

「鬼界カルデラ噴火では巨大津波が発生し、津波の痕跡はいまも三重県などに残っているほどです。この時の噴火で西日本の縄文文化は壊滅した。いま、太平洋プレート境界線上で破局的噴火が起きると、巨大津波が太平洋沿岸を襲うことになる」(前出・島村氏)

地震活動期とされる現代。日本のどこにいても安全な場所はないのかも。

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