岸田政権を支える麻生派内から重鎮らの離脱騒動が表面化し、政権の足元がグラつき始めた。
「麻生派で会長代理を務める佐藤勉・前総務会長に同調し、複数の派内議員が退会しそうだ。理由は〝犬猿の仲〟とされる松本純・元国家公安委員長を派閥復帰させたことへの不満。松本氏は緊急事態宣言発令下の昨年1月18日深夜、銀座クラブ通いを『週刊新潮』に報じられ、離党に追い込まれた。松本氏は派閥会長である麻生太郎副総裁の最側近。佐藤氏が退会すれば、麻生氏の求心力低下は避けられないだろう」(自民党幹部)
現在の麻生派(志公会)は5年前、旧麻生派(為公会)、山東派(番町政策研究所)、谷垣グループ(有隣会)を退会した佐藤氏が設立した天元会の3つの政策集団が合流し、党内第2派閥までのし上がった。佐藤氏らが退会すれば、第3派閥への転落は必至だ。
「結局は複数の寄せ集めグループのため〝何かあると分裂も早い〟と囁かれていた」(同・幹部)
菅前首相との連携が見え隠れ…
麻生派の寄せ集めぶりが顕著に表れたのが、昨年9月に行われた自民党総裁選だ。麻生氏らベテラン勢は岸田文雄首相、中堅&若手は同派の河野太郎広報本部長を支持した。他方、一部は高市早苗政調会長へ走り、佐藤氏に至っては菅政権で総務会長だったことから菅義偉前首相再選へ動くなど、派内はてんでんばらばらの動きを見せていた。
岸田政権にとっても、麻生派内のゴタゴタは対岸の火事ではない。
「佐藤騒動の背後には菅前首相の意図が見え隠れする。菅氏は岸田首相の総裁選出馬によって、再選の道を阻まれた恨みがある。菅氏は再び権力を掌握するため、仲間集めに動き出した。まず、菅氏の勉強会『ガネーシャの会』を核として、同じ冷や飯組の二階派44人を巻き込み、最終的には70人規模の菅派旗揚げを視野に入れている。佐藤氏離脱の動きは菅派結成とリンクしているはず。菅派の勃興、麻生派の衰退は岸田政権にとって〝命取り〟になるかもしれない」(自民党長老)
非主流派の巻き返しが始まった。
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