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大低迷…「カラオケ業界」売り上げ挽回の秘策~企業経済深層レポート

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企業経済深層レポート (C)週刊実話Web

新型コロナウイルスの感染拡大で大きなダメージを受けたカラオケ業界が、窮地脱出のため「歌わないカラオケ」への転換に躍起になっているという。カラオケ業界の関係者が解説する。

「帝国データバンクの調査によれば、2021年度のカラオケ市場は約1400億円で、これはコロナ前の19年度(3482億円)に比べると約4割。直近でピークだった11年(3837億円)に比べると、3割台の落ち込みになります」

これだけ市場が縮んだのは、コロナ禍におけるテレワークの浸透に加え、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などで、深夜帯でのカラオケ利用が激減したためだという。また、巣ごもりでスマホゲームや動画配信が急速に伸びたことも、カラオケにとってはさらなる逆風となったようだ。

そのため、カラオケボックスの休業、撤退もすさまじい。全国カラオケ事業者協会の調査によれば、20年度のカラオケボックス店舗数は8436店で、コロナ感染拡大前の19年度から908店も減少している。

「これだけ店舗が減ったのは過去最大。昨年末は感染が鎮静化して一息ついたが、今年に入るやオミクロン株が一気に感染拡大し、カラオケは再び大きなダメージを受けました」(同)

しかし、カラオケ業界も、この壊滅的な状況にただ手をこまねいていたわけではない。なんとか活路を見いだそうという動きの中で生まれてきた究極の対策が、「歌わないカラオケ」への転換、つまりカラオケ以外の利用法だという。

テレワークの専用オフィスとして

実際には、どんな例があるのか。経営コンサルタントが明かす。

「例えば通信カラオケ『JOYSOUND』を展開する『エクシング』(愛知県名古屋市)では、自宅では味わえない大音量、高音質で、音楽ライブや映像を楽しめる機能を備えた店舗展開を始めた。すでにその数は47都道府県、5000ルーム以上に達しています」

『コシダカホールディングス』(東京都港区)が全国展開する『カラオケまねきねこ』は、20年暮れに導入した『ミラPon!』が好評を博している。このサービスは専用ケーブルにつなぐだけで、自分のスマホやタブレットの中にあるコンテンツを大画面、大音量で楽しめる機能だ。

『ミラPon!』なら自分の好きなアイドルのライブ映像を楽しんだり、カラオケに入っていないオリジナル曲や校歌などを歌ったりできる。もちろん、ゲームやホームビデオも楽しめるという。

テレワークが広がりを見せたことで、カラオケボックスを専用オフィスとして使う動きもある。中堅サラリーマンが言う。

「大手チェーンのカラオケボックスなら、大抵のところがテレワークに対応している。1時間で数百円、1日いても2000円~3000円前後で、Wi-Fiや電源が使い放題、ソフトドリンク飲み放題というカラオケボックスも多い。子どもがまだ小さいので家にはいられず、よくテレワークで利用しています」

中にはテレワーク用に、カラオケボックスと法人契約する企業も増えている。例えば『第一興商』(東京都品川区)の『ビッグエコー』などは、約70社と法人契約をしているという。

多様な利用もいずれはカラオケ復活を!

また、荷物預かりサービスの『エクボクローク』(東京都渋谷区)と『ビッグエコー』は、コインロッカーに入りきらない大型荷物を空いたカラオケルームで保管する制度を設けている。経済アナリストが言う。

「ビッグエコーの一部店舗で、スマホなどから予約を受け付けており、コインロッカー難民になったとき便利。『クリアックス』(東京都豊島区)が展開する『歌広場』では、宅配を預かるサービスもしています」

カラオケボックスの活用例はまだある。これらはコロナ前から知られていたものだが、例えば英会話やプレゼン、冠婚葬祭のあいさつの練習、さらには仮眠を取るため利用する人もいる。

「お笑いコンビ『ますだおかだ』の増田英彦が、2月3日放送のラジオで、20年ほど前にビートたけしがカラオケボックスで漫才の練習をしたという裏話を披露。業界でも話題になりました」(同)

一方で、前出のカラオケ業界の関係者はこう指摘する。

「現在の状況では、歌わないカラオケに頼らざるを得ませんが、事業の屋台骨を支えるには長い目で見ると厳しい。やはりカラオケを心置きなく歌ってもらうのが一番です」

国内最大級の女性向けメディアアプリ『LOCARI(ロカリ)』のアンケート(21年1月)によると、「コロナが落ち着いたらやりたいこと」に、旅行、外食などに続き「カラオケ熱唱」が8番目と、底堅い人気を維持している。

カラオケ店の店長が言う。

「お客様に再びマイクを握ってもらう意味でも、今こそコロナ対策を徹底し、絶対的信頼を得ることが大事です。多くのカラオケボックスでは、10分前後で完全換気できる機器を導入しています」

コロナ感染が収束した後、カラオケ業界に再び光は差すのだろうか。

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