2月7日、熊本県の川口漁協が出荷したハマグリに買い手がつかず、大量に返品されていたことが分かった。漁業関係者は、アサリの産地偽装疑惑を受けた風評被害とみている。
「ハマグリの貝殻は同一固体のものしか合わないため、古来より夫婦和合の象徴とされ、お祝い膳の吸い物として出されるようになった。例年、縁起物の国産ハマグリの価格は、ひな祭りが近づくにつれて高くなるが、今年はさっぱり売れません。正真正銘の熊本産なのに残念です」(東京・豊洲市場の水産仲卸業者)
国産のハマグリは「本ハマグリ」と「チョウセンハマグリ」の2種類。内海で獲れる小型で黒っぽいハマグリが本ハマグリで、熊本県の有明海や愛知県と三重県にまたがる伊勢湾、それに東京湾などで獲れる。
「本ハマグリに対して、大型で白っぽいハマグリがチョウセンハマグリで、茨城県の鹿島灘や千葉県の九十九里など外洋の水深があるところで獲れます」(同)
“チョウセン”ハマグリの名称にも問題が…
ちなみに、チョウセンハマグリは「朝鮮」という意味ではなく、海面または湖面と陸地の境界線という意味。その名称から外国産と混同しやすいので、産地や市場では「地ハマグリ」と呼んでいるという。
中国や朝鮮半島からは大量に「シナハマグリ」が輸入されているが、一般的には〝ハマグリ〟として流通している。
「国産の本ハマグリはわずか2%、地ハマグリは8%程度。居酒屋や大衆割烹で出されるものは、ほとんどがシナハマグリです」(小料理店店主)
本ハマグリの一大生産地である熊本県有明海の漁獲量は、昭和40年代の最盛期には年間4000トンもあった。しかし、年々減少の一途をたどり、近年では約100トン程度になっている。
「川口漁協が出荷している本ハマグリは、日本最後の天然産と言われる貴重品。そのハマグリが返品されるとは、漁師にとって死活問題です」(漁業関係者)
熊本県は国産ハマグリと漁師の生活を守るために、風評被害を払拭することが急務だ。
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