10歳未満の児童への新規感染者急増が取り沙汰される中、厚生労働省は5歳~11歳までの子どもを対象にファイザー社製のワクチン接種を正式承認した。医療現場からは「オミクロン株に対する有効性を示すデータが不足している」と不安視する声が出ている。
「3月以降、ファイザー社製の子ども用ワクチンが接種される予定ですが、これだけ子どもへの感染が拡大しているのに、あまり話題にならない。現場の医師から有効性について、疑問視する声があるからです」(医療ライター)
藤巻耳鼻咽喉科医院(千葉県市川市)の藤巻豊院長は「子どもには接種量が少ないと発表されていますが、副反応に関しては情報がない」と困惑する。
「市川市でも連日、小学生の新規感染者が続々報告されています。当院ではPCR検査を断らなればいけないほど、患者が殺到している。子どもへの接種は、健康被害の不安があるので様子見するしかない」
東京都は1月28日、過去最高となる1万7631人の新規感染者を発表した。年代別では20代が3946人と最も多く、続いて30代3407人、10代未満は2165人だった。10代未満の伸び率は高く、休校や保育園の休園も相次いでいる。
「10代未満の感染者の大半が『オミクロン株』です。すでに学校、学年、学級単位で閉鎖に踏み切っています。保育所も全面休園が全国で327カ所(1月20日時点)に及び過去最高になっている」(前出・医療ライター)
感染防止で学校行事は延期や中止に!
ワクチン接種が進んだ後に感染が再び拡大したイスラエル、イギリス、シンガポールなどの例を見ると、ワクチン未接種者の中でも、とりわけ子どもの新規感染者が増加している。
「日本の場合、年末年始の人の流れが感染爆発の原因でしょう。親から家庭内で子どもたちへうつしたのではないかとの見方が支配的です。東京都は教育現場での基本的な感染防止対策と健康観察を徹底して、修学旅行などの行事は感染状況に応じて延期や中止の検討を求めることを決定し、都内の学校や区市町村に通知した」(都関係者)
これまでワクチン接種の対象になっていなかった子どもたちへの副反応は未知数。先の藤巻院長が語る。
「当院では1日30人前後のPCR検査や抗原検査を行っています。症状は喉が痛い、38度くらいの熱ですが、ほとんどの子どもは無症状。子どもにはメッセンジャーワクチン(遺伝子を用いたワクチン)は副反応があって打てない。日本脳炎やインフルエンザなどで普及している従来の不活化ワクチンの実用化に期待するしかありません」
感染予防対策は手洗い、そして人数制限を徹底するしかなさそうだ。
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