まだ正式な統計は出ていないのだが、2021年の東京都の人口が前年比でマイナスになることが、ほぼ確実になった。
東京都の発表によると、昨年12月1日現在の人口は1399万8001人で、前年同月と比べて4万1209人の減少となっているのだ。
例年、12月中の人口増減はさほど大きくないので、2021年を通じた東京都人口が、4万人程度の減少を示すことは、間違いないだろう。年間の増減で見ると、東京都の人口は1997年から増加し続けていたが、これで25年ぶりの減少に転じることになる。
人口減の直接の原因は、新型コロナの感染拡大だ。リモートワークの普及もあって、感染リスクの高い都内を避け、郊外への移動が活発化したのだ。『住民基本台帳人口移動報告』によると、20年7月から東京都は8カ月連続で転出超過になったため、当時も東京の人口減が話題に上ったが、結局20年も、20年度も、東京の人口は増加した。東京一極集中は止まらなかったのだ。ところが、21年は確実に人口減となる。
私はその理由をリモートワークの普及で、周辺3県への人口流出が本格化したからだと考えていた。しかし、そうではなかった。21年12月末、人口の前年同月比は千葉県が▲9406人、神奈川県が▲2946人、埼玉県が▲4577人と、3県とも人口を減らしているのだ。
東京から流出した人口がどこの県に向かっているのかは、詳細な統計が出るまで分からない。ただ、『住民基本台帳人口移動報告』を見ると、明らかに大きな転入超過となっている道府県はない。
人口減少が続く地方と東京が同じになる…
東京都人口の自然増減数(出生数から死亡数を減じたもの)は、16年からマイナスに転じている。それでも人口が増えてきたのは、自然減を上回る転入超過があったからだ。感染症拡大だけでなく、東京都に住むことが、そもそも難しくなってきた理由もあるだろう。
不動産経済研究所によると、昨年1月から11月の東京23区の新築マンションの平均価格は8327万円となっている。サラリーマンが買えるマンションは年収の5倍が限度と言われるから、都心にマンションを買えるのは、年収1600万円というとんでもない高所得世帯に限られてしまうのだ。
それは首都圏全体でも同じで、昨年10月の首都圏新築マンションの平均価格は6750万円となり、73年の調査開始以来、最高値を記録しているのだ。ここに首都直下地震や荒川決壊による浸水が重なれば、東京が一気に空洞化してしまう事態も考えられる。これまで東京は、衰退する日本経済の中で唯一の「成長経済」だった。それが、失われることになるのだ。
これからの日本がどうなるのか。その未来は、はっきり見えている。ずっと人口減少が続く地方経済と、東京が同じになるということだ。街には空き家があふれ、商店街はシャッター通りとなる。安定した就職先も欠如することになる。
ただ、重要なことは、地方の人が不幸かと言えば、そんなことはないということだ。下り坂の中をゆったりと、自分自身の幸福を追求しながら生きていく。今年は日本人全体が、そうしたライフスタイルに自身の生き方を切り替えていく、重要な転換点になるのかもしれない。
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