『ハウス・オブ・グッチ』
監督/リドリー・スコット
出演/レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエック他
配給/東宝東和
今年も素敵な映画を皆さんに紹介するため、ただいま試写室にダッシュし携帯電話を使って原稿を打っています。はい、パソコンがダウンしてしまったのです。
今回、〝正月ボケから戻らない!〟とお嘆きの方たちに、脳に刺激を与えたらパッと〝働く日常〟に戻るかもと思い、ドロドロの家族物語をオススメします!
『ハウス・オブ・グッチ』。誰もが知ってる高級ブランドの『GUCCI』。グッチ一族の物語ですが、映画関係の先輩方は口を揃えて〝ドロドロのメロドラマ〟と言っています。成功、失敗、権力、愛、浮気…。
でもね、私はレディー・ガガが演じる黒幕といわれるパトリツィアの立場を理解しようとし、彼女の脳裏を読み解きました。確かにラストに向けての彼女の行動はいただけなかったけど、それまでのバイタリティーには驚き。ブランド『GUCCI』が今の形になるまでの話が、かなり面白い。たとえ、いけないことをしていても、それはすべて〝愛〟が絡んでいることがヒシヒシと伝わります。
ドロドロでありながら大作感がすごい!
一大ブランドへの目標を成功させるため、血縁関係ではないパトリツィアが、グッチ一族の夫・マウリツィオが到底思いつかないアイデアを出し、代わりをこなしていく。これは、アイデアマンとしてすごいこと。当然、外様であるパトリツィアはチャンスを感じ、グッチの名前をどんどん大きくしていく。その成功は次第に彼女にとっても自信と誇りとなり、夫に裏切られるとぶち切れるように。これは当たり前のことです。そこからの行動はやりすぎ感が否めませんが、その部分を描いているからこそ面白い映画に仕上がっているのは事実です。
夫役のアダム・ドライバーは『スター・ウォーズ』でカイロ・レンを演じても、そのイメージが定着しなかったのが素晴らしい! そしてレディー・ガガは『アリー/スター誕生』でナチュラルな演技ができることを実証済み。そんな彼女が表現するハングリーな女の心情は痛いほど伝わります。
また、音楽も懐かしくて80’s好きにはたまらない。そして、ちょっと笑ったのは占い師に頼るシーン。大女優サルマ・ハエックが演じてますが、度々、そこに行くパトリツィア。結局、単純な人っていうこと?
ドロドロでありながら大作感がすごい本作。成功物語、愛の復讐の好きな方には今年の仕事のモチベーションになるかもしれません。映画で脳を刺激しまくり、素敵な1年にしましょう!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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