40代後半以上の男性読者には、青春の金字塔だろう。アイドル界に変革をもたらした『おニャン子クラブ』(フジテレビの夕方帯番組『夕やけニャンニャン』から誕生した女性アイドルグループ)は、1985年から87年の約2年半という短い活動期間にもかかわらず、インパクトは絶大だった。その第1期メンバーであり、最年長でもあった立見里歌(会員番号15)は今、芸能活動の傍ら化粧品のプロデュースなど、事業家としても活躍しているという。先頃、56歳になったばかりの彼女を直撃した(立見里歌は取材の2日前、肩まであったロングヘアをバッサリ。「人生最短」のショートヘアでこのインタビューに臨んでくれた)。
立見 結構な冒険だったんですけど、似合っているかしら!?
――とてもフィットしていますよ。肌が瑞々しい上にプロポーションも抜群で、とてもアラ還に足を踏み入れた女性には見えません。化粧品をプロデュースしているそうですが、それも関係しているのでしょうか?
立見 実は、肌に関しては若い頃から悩みの種だったんです。すごい敏感肌で、どの化粧品を使っても合いませんでした。同じような悩みを抱えている人もいるのではないか、そういう女性の役に立ちたいと、長男が就職して家を出たのを機にスキンケアの研究を始めたんです。
――研究、ですか?
立見 何事も凝り性なんです。2年以上、何度も何度も作り直してできたのが『イポラニ』というオールインワンの無添加コスメです。ハワイ語で「最愛の恋人」という意味があり、2017年から発売しています。植物性で安心の成分なので、女性だけじゃなく小さい子供から高齢男性までOK。日焼けをしている人、ゴルフや釣りをする人のスキンケアにもいいですよ。
――で、ご自身も宣伝担当をしていると。
立見 そうですね。せっかく芸能活動をさせていただいてたんだから、自分が表に出るのが一番かなぁと。そのことがきっかけとなり、ファンの方が開いてくれたおニャン子の解散30周年イベント(17年)や、ニャンギラスで一緒だった白石麻子ちゃん、おニャン子の曲を歌ってくれている『ハコイリ♡ムスメ』というアイドルグループとも一緒にライブをやったんです。まあ、相変わらず私の歌は下手なんですけどね(笑)。
新田恵利派と国生さゆり派“バチバチ”の真相…
――今も当時のメンバーとは仲がいいんですか?
立見 初期のメンバーとは今でもほとんどの人と交流がありますよ。特に仲がいいのは内海和子さん。3年前にはユニットを組んでステージにも立ちました。あとは白石さん、新田(恵利)さん、城之内(早苗)さん、生稲(晃子)さん、山本(スーザン久美子)さん、ゆうゆ(岩井由紀子)さん…コロナで会えなくても、メールのやり取りをしています。
――おニャン子はAKBとも比較されますが、違いは何だったと思いますか?
立見 家族ではないけれどただの友達でもない関係でしたね。めちゃくちゃ同じ時間をすごしているので、ほとんど姉妹のような、幼馴染のような。AKBさんと決定的に違うのは、私たちには総選挙がなかったということかな。彼女たちは握手会とかでも、すごく競わなくてはいけないじゃないですか。私たちの頃はSNSもなかったし、そういう点ではぬるま湯でしたから。ライバル関係なんて、ほとんどなかった。もっとも、誰もが「立見なんかライバルじゃない」と思っていたんでしょうけど(笑)。
――巷間言われているような、新田恵利派と国生さゆり派のバチバチはなかった?
立見 あるにはあったと思います。ただ、おニャン子を二分して対立…みたいな感じではなく、互いに2人くらいの味方がいて、小さないがみ合いだったと思いますよ。私はその恵利ちゃんともさゆりちゃんとも仲よくしてましたから、立見派と呼ばれてたんです。
――その派閥には誰が入っていたんですか?
立見 全員(笑)。最年長なので、みんなと仲がよかったんです。
――石橋貴明(とんねるず)との「テレビ公開バトル」は凄まじかった。石橋が内海さんと一緒に写ったパネルをへし折ったり、番組の途中で席を立ったり。
立見 私も大人げなかったですね。石橋さんがキレて椅子を蹴飛ばしたら内海さんに当たって、それを見た私もキレちゃった。ほんと、若気の至りです。人生でキレたのは、あれを含めて2回だけ。その後は周囲が腫れ物に触るみたいに気を使ってくれて、一切の共演がないんです。プライベートでは普通に会ってるし、おニャン子を卒業した後に就職したレコード会社では、石橋さんの宣伝担当にもなってるんですよ。
――では、手打ちの共演を石橋さんのYouTubeでやるというのは?
立見 それも面白いですね。でも、雑誌やテレビでことあるごとに「対談したい」とアピールしても、私のラブコールはなぜかカットされてしまうんです(笑)。
デキちゃった結婚の7年後に離婚…
――おニャン子卒業後の話をもう少し聞かせてください。就活をしたということですか?
立見 大学を卒業する段になって、冷静に考えたんです。タレントで食べていける人って少数だし、歌は好きだけどすごい音痴なので歌手も無理。じゃあ女優? いや、キスシーンがあるからイヤだ…といった感じ。若かったんですね。主演クラスでもないのに、そもそもキスシーンなんてあるはずもないのに。そこで考えたのが就職でした。当時人気があったスチュワーデスと広告代理店、そしてレコード会社をターゲットにしてOB訪問などを熱心にやりました。その中で最初に内定をいただいたのがポニーキャニオンだったんです。最初は名古屋支社に配属されて営業担当。数年で本社に呼ばれて宣伝部に配属されました。当時はFMを担当してまして、レギュラーだけで深夜に2本もあったんです。チャゲ&飛鳥のチャゲさん、アルフィーの坂崎幸之助さん…。その中に石橋さんもいました。でも、3年ちょっとで寿退社。デキちゃった結婚でした。長く付き合っていた人とお別れしたばかりで、新たに付き合おうかどうしようか…という段階の彼でした。
――その後、7年ほどで離婚も経験。独身時代が長いわけですが、新たな恋は?
立見 一応、人生を一緒に歩むパートナーはいます。でも、恋愛は突然始まるものですから。こればっかりは〝卒業〟とは言い切れないかもしれないですよ(笑)。
立見里歌◆たつみりか 1965年11月14日生まれ。ミス東海大学グランプリが縁でオールナイターズに起用。おニャン子クラブ内のユニット『ニャンギラス』ではリーダーを務めた。YouTubeチャンネル『あのころの』配信中。
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