クライマックスシリーズでヤクルトに敗れ、巨人の今季が終了した。「ベストを尽くした中でこういう結果になった」と振り返った原辰徳監督は、さっそくコーチ陣の手直しに着手したが、その深謀とは?
抜本的な改革が求められる中、真っ先に手をつけたのがファームの拡充だ。今季、日本ハムでヘッドコーチを務めた小笠原道大氏を、二岡智宏二軍監督を支える二軍打撃コーチに。有力OBで楽天、横浜で打撃コーチを務めた駒田徳広氏を三軍監督に招聘した。
一軍は、元木大介ヘッドコーチと阿部慎之助作戦コーチが残留。宮本和知投手チーフコーチをフロント入りさせ、桑田真澄投手チーフコーチ補佐をチーフ格に昇格させる。
この布陣について、「DH制採用へ向けた対応シフト」と読み解くのは、スポーツ紙デスクだ。原監督が2年にわたり提唱してきた「セ・リーグのDH制」が、来季から採用される可能性が浮上しているのだという。
「昨季の日本シリーズで巨人が2年連続でソフトバンクに4連敗し、セはパに8連敗中。今季も投手5冠の山本由伸を擁するオリックスにヤクルトが苦戦するのは必至で、もし敗れれば日本シリーズ後の12月のセ実行委員会で急転採用が決まる可能性がある」(同)
背景にある“贅沢税”
これまでは巨人のDH制導入案に、セは「価値向上委員会」を設置して審議し、5球団とも「反対」の立場を崩さなかった。しかし、ここに来て様相が一転。実施の機運が高まったのだ。
「背景にあるのが、ラグジュアリー・タックス(贅沢税)の導入です。メジャーリーグにならって球団の選手総年俸に30億円程度の天井を設け、超過分については20%程度の贅沢税を課して日本プロ野球機構(NPB)に納付させます。コロナ禍で経営が厳しくなった球団を救済する原資にしようという狙いで、巨人が希望するDH制に賛成する見返りに、抱き合わせ採用を求めていくようです」(同)
球団総年俸は、ソフトバンクと巨人、楽天が突出。贅沢税が採用されれば高額選手のリストラは避けられず、自前の若手選手の育成が急務になる。これでは巨人も安易に「FA補強」できず、小笠原、駒田氏の二軍、三軍への招聘の狙いはここにあるという。
ソフトバンクが藤本博史氏を一軍監督に昇格させ、楽天が9億円エース田中将大をメジャー復帰させようとしているのもそのためだ。
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