半導体不足の影響で、深刻な減産を余儀なくされている自動車業界。
国内自動車メーカーの生産台数(9月)は、トヨタとホンダが2カ月連続のマイナス。日産も8カ月ぶりのマイナスとなった。
20世紀末に起こったハイブリッド技術競争において、トヨタは世界の自動車メーカーから完全に頭ひとつ抜け出し、その勢いに乗じて水素エンジン開発でも大きくリードしてきた。
しかし、トヨタの独壇場を警戒した世界各国が、自国の自動車産業を守るため、電気自動車を次世代の主流とする方針を掲げていることは周知の事実である。
そんなトヨタが、犬猿の仲ともいわれていたホンダと、カーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量を抑制するための概念)に向けて手を結ぶというニュースが、自動車業界で話題となっている。
まさにオールジャパン体制
「10月25日の発表では、レースの現場を通じて研究を共有するとしているが、実質は共同で開発を進めるということです。トヨタは水素技術のローカル化を懸念しており、一方のホンダも従来の独立主義に限界を感じ、新たな提携先を模索していました。そんな両者にとって、レースを通じての共同研究は渡りに船でしょう」(経済アナリスト)
ここ数年、トヨタはスバルを連結子会社化し、スズキ、マツダとも提携を推し進め、従来からのグループであるダイハツ、日野を含めて連携を強めてきた。そこにホンダが加わるとなれば、まさに「オールジャパン体制」といっても過言ではない。
だが、早急にカーボンニュートラルを進めなければ、世界各国への輸出枠が削減され、競争力が大きく低下することになる。日本の自動車業界は、すでにそれほど厳しい状況下に置かれており、たとえオールジャパン体制を敷いたとしても、盤石とは言えない環境にあるのだ。
つまり、今回のトヨタとホンダの提携は、日本の自動車業界が危機的状況に置かれていることの証明でもあるのだ。
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