滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年生まれ、東京都出身。98年に西堀亮とお笑いコンビ『マシンガンズ』結成。12年から並行してゴミ収集会社に就職、ゴミ収集中の体験を記した書籍を多数出版。20年10月には、環境省『サステナビリティ広報大使』に就任した。
――最近はすっかり〝ゴミ清掃員〟として有名になりましたね。普段どのような1日を過ごしているのですか?
滝沢 ゴミの話をしながら、清掃員としてゴミ回収をやり、帰宅してからはゴミの勉強をしてゴミの発信をしているので、ずっとゴミに携わっています。テレビやラジオの仕事もゴミのことしか聞かれないので、今後もゴミから離れることはないでしょうね(笑)。
――本書では、各自治体のさまざまな取り組みが紹介されています。特に感心したものを教えてください。
滝沢 一番全国に広がってほしいと思う活動は、千葉県市川市の「24時間生ごみ回収ボックス」です。市川市によると、可燃ゴミの4割が生ゴミだといいます。よく可燃ゴミとして捨てられている紙とプラスチックをきちんと取り除いて分別し、資源に出せば可燃ゴミの3分の1は減ります。まだ試作段階中らしいですが、これが実現すれば、可燃ゴミはだいぶ減るので、ぜひ広がってほしいですね。
また、和歌山県有田川町では、ゴミステーションを設置したことで、住民がみんな意識してキレイな資源を持ってくるようになりました。今まで処理費を払っていたのが逆に買い取ってもらえることになり、自治体にお金が入ってくるようになった。どの自治体もそうなればいいですね。
レジ袋の有料化が悪いとは思わない
――最近はレジ袋の有料化に疑問の声が上がっていますが、どう思いますか?
滝沢 プラスチックゴミが減っていないからといって、無料に戻せというのは僕は違うと思います。9年間ゴミ清掃をやってきて思うのは、人は他者から必要のない物をもらったり、価値がないと言われている物は〝無責任に捨てる〟ということです。
そんな現状を嫌というほど見てきたから、レジ袋が欲しければ自らお金を出して買えばいいと思います。そうすれば使用した後も無駄に捨てることなく、有効に再利用すると思います。実際、レジ袋が有料化されてからは、街中に飛んでいるレジ袋を見なくなりました。
――滝沢さんが実際にゴミ収集して感心したエピソードを教えて下さい。
滝沢 良いのか悪いのか分かりませんが、コロナ禍になって、ゴミ清掃を含んだエッセンシャルワーカーが世間の注目を浴びています。以前より街中で「お疲れ様」と声を掛けられることが増えたような気がしますね。ちょっとしたあいさつをしてもらうだけでも、清掃員は「また、頑張ろう」と励みになります。見掛けたら声を掛けてくれるとうれしいですね。
(聞き手/程原ケン)
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