今季限りでの現役引退を表明したロッテの鳥谷敬内野手が、すでに「第2の野球人生」に向けてスタートを切っていた。
11月3日の引退会見で18年間の現役生活のほか、16年間在籍した阪神時代のことも質問された鳥谷。ポジションを奪われる恐怖と戦い、苦しい16年間だったと吐露していたが、阪神在籍時を知るOBらは「そんな素振りも見せなかったのに?」と一様に驚いていた。しかし、別の捉え方もされていた。タテジマ帰還はない、と――。
「矢野燿大監督に続投要請をしましたが、シーズン中であることを理由に返事はまだのようです。今季は中盤までの独走を終盤にひっくり返されました。阪神内では、最大13ゲーム差を逆転された2008年の屈辱と変わらないと見る向きもないわけではありません」(在阪記者)
仮に〝逆転V逸〟の責任を曖昧に終わらせたとしても、後任は早く探しておかなければならない。監督としての適正、年齢的な意味で、多くの関係者が「鳥谷帰還」に期待していたのだ。
金本知憲前監督の再登板説も…
「鳥谷が移籍して以来、『これからは藤川球児の時代』との見方もされてきました。NHKでの解説も好評で、指導者としてもやっていけそうですが、あくまでも彼は切り札。失敗させたくないので、誰かの下でコーチとして勉強させてからでしょう」(球界関係者)
仮に、矢野監督が逆転V逸、クライマックスシリーズ敗退の責任を取ると言い出したら、どうなるのか。適任のOBが不足していることもあり、金本知憲前監督の再登板説も聞かれた。まだ指導者経験のない切り札の藤川に危ない橋は渡らせられない。理想的な監督継承順位は、あくまでも鳥谷、藤川の順なのだ。
「今季の鳥谷は二軍でも打撃不振でした。チーム功労者のベテランに、客観的な本当の評価を伝えるのは難しい。でも、それができなかったから、阪神で肩叩きに遭ったほかのベテラン選手も他球団で現役を続けているんです」(同)
中日の福留孝介や、オリックスの能見篤史らのことだ。彼らは若手から人望も厚く、チームに残って後進の指導に当たってくれたらトラの未来は明るかった。
引き際の苦しみを共有し、功績を讃える。そんな伝統球団として最も重要なことができていないのだ。
鳥谷のロッテ残留は、ボディーブローのようにジワジワと効いてきそうだ。
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