この冬、東京や大阪で「ブラックアウト」(大規模停電)が起きるかもしれない――。
国内の各地で電力不足が常態化しており、来年1~2月に電力の使用量が高まればアウトだ。厳寒の中で電気が止まったら、命に関わる事態が待っている。
電力会社から供給される電気の余力を示すのが「予備率」だ。普通は8%以上、最低でも3%が必要とされる。経済産業省の見通しでは、東京電力管内の予備率が来年1月に3.2%、2月に3.1%まで下がる。中部、北陸、関西、中国、四国、九州の各電力管内も2月に3.9%となり、北海道と沖縄を除けばギリギリで、東日本大震災以来、11年ぶりの厳しい状況だ。
家庭や企業で使用する電力量が、予想より少なければなんとか持ちこたえられそうだが、厳冬となり、エアコンの設定温度を上げると、電力需要が増えて一気にパンクする恐れがある。
「今年は年明けから冷え込み、東京では1月7日にピーク時の電力使用率が97%まで上昇した。関西電力管内では一時、使用率が99%に達するなどパンク寸前になった。電力の供給がギリギリの状態で、発電所が故障や不具合を起こせば、大規模停電は避けられない」(経産省関係者)
寒さに震えながら電気がつくのを待つ…
2018年9月に起きた北海道胆振東部地震では、発電所が連鎖的に停止し、約295万戸が停電。道内349の病院が停電し、酸素吸入や透析治療ができなくなった。水が使えない多くの病院では、外来患者の受け入れも中止した。
停電で信号機が止まった地域も多く、一時的に長距離トラックの運送が途絶えたため、食料や日用品、石油燃料といった物資が不足するなどの余波もあった。
一般家庭でも、石油ストーブがあればいいが、エアコンや電気こたつはもちろん使えず、スマートフォンの充電もできない。
水道も集合住宅では断水する可能性が高い。給水に電気で動くポンプを使用しているケースが多々あるためだ。大渋滞が起これば、給水車も現場になかなか来ることができない。当然、電車も停止して移動もままならなくなる。
「東京、大阪といえども、まさに〝陸の孤島〟と化して、寒さに震えながら電気がつくのを待つことになりかねない」(同)
電力需給が綱渡りとなっている理由の1つが、「脱炭素」だ。太陽光発電などが増加し、日中の採算が悪化した火力発電所が運転を次々と休止している。
「中国やドイツではすでに停電が頻発しており、石油やLNG(液化天然ガス)の奪い合いになっている。世界的な〝電気ショック〟なのです」(外信部記者)
ブラックジョークでは済まされない。
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