今年最後の本場所である九州場所(11月14日初日)が近づくにつれ、元横綱・白鵬の間垣親方に対する力士たちの惜別の声が高まっている。
土俵外ではトラブルも多かったが、14年以上トップの座に君臨しただけに、特別な感情が湧くのは当然だ。
例えば〝白鵬に最後(2020年名古屋場所)の黒星をつけた男〟というキャッチフレーズを頂戴した御嶽海は、次のように絶賛している。
「勝ちにかける思いは誰よりも強いと肌で感じていた。同じ時代に土俵に立てて光栄。周囲からいろんなことを言われても、きちんと結果を残したことはすごい」
また、6戦して一度しか勝てなかった大関・貴景勝は、とにかく脱帽していた。
「小学生のころから横綱だった人だったので、とにかく一生懸命ぶつかっていった。(自分が)勝っているものは何もなかったので」
22戦して20敗(不戦敗を除く)の高安も、素直に頭を下げる1人。
「毎場所、今度こそ倒してやるという気持ちで、研究も、稽古もした。目標があったからこそ、今日に至るまで相撲が取れている。本当に感謝している」
“借り”を返せなかった照ノ富士
一方、若手力士の思いはベテラン力士と少し違っている。4戦して昨年の春場所に一度だけ勝っている阿武咲は、「もっと白鵬関とやりたかった。結局、一度しか勝てなかったけど、自分の中では悔しい印象がある」と、無念の思いを明かした。また、朝青龍を叔父に持つ豊昇龍は複雑な心境だ。
「常々、『早く上がってこないと俺が辞めちゃうよ』と言われていた。勝てなくてもいいから一度、胸を借りてみたかった」
悔しいといえば、名古屋場所千秋楽の借りを返せなかった照ノ富士に尽きる。
「白鵬関はこの世界に入る道をつくってくれた人。恩返ししようと、いつも一生懸命でした。本当にお疲れさまでした」
すべてを飲み込み、このようにねぎらっていた。
さまざまな思いをぜひ、九州場所の土俵にぶつけてもらいたい。
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