社会

国民の“ワクチン疲れ”で今冬インフルエンザ大流行予測も懸念…

(画像)file404 / shutterstock

「インフルエンザもA型は寒い時期、B型は春先暖かくなって、と流行する時期が微妙にズレている。気道に感染して肺に発症する感染症は、複数が同時期に流行することはありません。その予想通り、新型コロナが流行した昨季はインフルエンザが流行しなかった。しかし、コロナが収まりつつある日本では、今季どうなるか分かりません」

こう語るのは、公衆衛生が専門の医師で作家の外岡立人氏である。

外岡氏が指摘するように、昨季はインフルエンザ感染者が激減した。しかし、今年は社会全体の集団免疫が形成されておらず、インフルエンザの大規模な流行が起こる可能性もある。

米疾病対策予防管理センターのロシェル・ワレンスキー医師も、メディアにこうコメントしている。

「昨年は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、マスク着用やソーシャルディスタンス、他の予防措置が取られたことで、インフルエンザは非常に少なかった。2020年3月以降、インフルエンザウイルスの活動が軽度で、季節性インフルエンザに対する免疫を持つ人口が減った。そのため、今シーズンは感染者が増える可能性がある」

備えあれば患いなし!

新型コロナ対策として普及した手洗いやマスク着用、3密回避、人の移動制限などを徹底したことが、インフルエンザの感染予防にも有効だったのである。

「日本はワクチン戦略でコロナを完全に抑え、さらに三度目のワクチンで制圧するような状況です。すると、今度はインフルエンザの流行が理屈の上では考えられるわけですが、現在のところ、そうした状況は見られません」(外岡氏)

2回目のワクチン接種に加え3回目、またインフルまで…となると、ワクチン疲れに陥りそうだが、12月と2月に流行のピークを迎えるインフルエンザは、まだシーズン初期の段階だ。

「インフルエンザの大流行? 私自身はないと思っているが、理屈の上では流行もあり得るので、念のためワクチン接種をお勧めします」(外岡氏)

備えあれば患いなし。

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