「夫の葬儀をした際、通常の葬儀費用に加え、新型コロナ対策として衛生管理費を請求された」
昨年4月から現在まで、こうした苦情が国民生活センターに97件も寄せられている。確かに、新型コロナが流行し始めた当初は、死亡しても家族と「最後の対面」もできず、ひっそりと火葬されることが多かった。
しかし、いくら感染対策を徹底するとはいえ、高額請求されるのはおかしいのではないか。
コロナで死亡した人の葬儀費用をネット検索すると、ある会社の場合、防護服、納体袋、手袋、車両の消毒などで、約60万円かかるという。葬儀会社によってまちまちだが、社員の危険手当やPCR検査代を取られることもあるらしい。
「ネット表示は60万円でも、実際にやってみると100万円を超えることが多いそうです」(社会部記者)
では、新型コロナは遺体から感染するのだろうか。医師(公衆衛生)で作家の外岡立人氏が言う。
「例えば、エボラ出血熱などは体液から感染するので、死体であっても接触するだけで感染することがあります。しかし、新型コロナは死体の細胞では生きられず、1日置いた死体から感染することはない。ましてや、空気感染することもありません」
遺体の曝露から感染するという根拠はない
WHO(世界保健機関)のガイダンスにも、《遺体の曝露から感染するという根拠はないとされており、感染リスクは低いと考えられる》と記されている。
となると、葬儀会社が病院に遺体を引き取りに行く際、防護服や納体袋の費用を遺族が負担するのは当然としても、60万円~100万円の大金を請求されるのはやはりおかしい。
葬儀会社の中には会葬者が3人にもかかわらず、わざわざ大ホールで葬儀を行って、費用を請求することもあるらしい。死別で動揺する遺族が、強硬に苦情を申し立てることはほぼないため、こうした悪徳業者が横行しているとみられる。
苦情があれば1人で対応せず、周囲の協力を仰いだほうがいいだろう。
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