『誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか?』扶桑社/1540円
牧田寛(まきた・ひろし)
著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後、解雇。1年半の沈黙の後、著述家として再起。
――ワクチン接種の是非が取り沙汰されています。どのように感じていますか?
牧田 COVID-19パンデミックは、スペインかぜを上回る威力があり、ワクチンの開発と接種は当然と考えます。ワクチンは、科学・医学史上最大級の発明ですが、必ず副反応があり、効果にも限りがありますので国、製薬会社、医療従事者は、不都合なことであっても開示し、薬害が生じれば誠意を持って広く救済をせねばなりません。
我が国のワクチン行政は、MMRワクチン禍などさまざまな不祥事から、大変不誠実なものと市民に考えられており、それが「ワクチン忌避」やいわゆる「陰謀論」の原因になっています。現実にいくら宣伝をしても事実と異なれば信用を失うというスパイラル現象が実態です。我が国では、「反ワクチン」思想は、マイナーな存在で、米国に比べればオモチャです。
――10月以降、次の〝波〟はくる?
牧田 過去100年の経験則上、「秋の波」はくると考えねばなりません。海外の研究所による予測もシナリオとしてすでに織り込んでいます。ただし、統計などのデータを見る限り、9月中旬の時点でその兆候は見えません。くるとしても昨年よりやや遅れると考えています。
本当に効果的なマスクとは?
――先生はウレタンマスクは「無意味」と指摘しています。本当に効果的なマスクとはなんですか?
牧田 使い捨て不織布マスクは、大変に高性能で強力です。ペラペラで5円程度ですが、80パーセント程度の感染防御力があるとされます。ただし、横に隙間がありこれが弱点となっています。布マスクなどを上から着用して二重マスクにし、顔にぴったり押さえつけると、90パーセント以上の防御力になります。マスクとワクチンの併用は強力な防御手段です。
――パンデミックはいつ収束すると思いますか?
牧田 治療法、治療薬、次世代ワクチンの開発と実用化によってCOVID-19による死者がインフルエンザを超える死亡者数並みの「2000人/年」を割ったときが、一応の収束と言えるでしょう。何年かかるかは未知数ですが、10年はかからないと思います。
しかし10年もかかると社会は疲弊し、みんな参ってしまいます。先の見えない新技術開発に全依存することは無謀で危険です。韓国、豪州、台湾、ニュージーランドなど、成功している近隣国の事例を真似して「ゼロ・コロナ」を目指すことを並行して行えば、1年程度で収束させることができるでしょう。今のままでは、収束はとても難しく政策変更は必須です。
(聞き手/程原ケン)
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