『TOVE/トーベ』
監督/ザイダ・バリルート
出演/アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ローニー、ヨアンナ・ハールッティ、ロバート・エンケル
配給/クロックワークス
皆さんはムーミンと聞いて何を思い浮かべますか? 白いムーミントロールの姿、ニョロニョロ、ミー、スナフキン、青い家…そう、何かしらのキャラクターが頭に浮かぶと思います。
意外と知られていないのですが、90年代に日本で放送されたムーミンのアニメは日本制作なんです。そして、もっと知られてないのは、原作者のトーベ・ヤンソンの生き様かもしれない。実は私、出演している『王様のブランチ』(TBS系)の取材で数年前にフィンランドまで飛んで、ムーミンの会社やムーミンミュージアム、トーベがすごした別荘にも行かせていただきました。島というより、湖に浮かぶ岩の上に流木などを使ってトーベとパートナーのトゥーリッキが建てたもの。可愛くて小さな家、サウナなど、今では観光スポットとなってます。
スウェーデン育ちの私は、小さい頃からムーミンを知っていましたが、日本に来て、多くの大人のムーミンファンがいることに驚きました。となれば、トーベのバックグラウンドをもっと知りたい。この映画では、大変な時代を経験して強くなっていったトーベや両親との関係、そして恋人たちとのアバンチュールなど、静けさと激しさの両方を痛いほど感じることができます。全くトーベを知らない方にとっては、驚くことも多いはず。今回はフィルムで撮影したのでいい味が出ていますが、かなりの緊張感だったらしいです。
見た回数によって作品の深さにハマる
トーベは、戦争が終わるとボロボロのアトリエを借りてDIYで綺麗に仕上げます。そんなある日、舞台演出家のパーティーでヴィヴィカと衝撃の出会いをする。2人は恋に落ち、トーベの愛はどんどん深くなっていきますが、ヴィヴィカは他の女性とも仲良くしてトーベはヤキモチを焼く。その時のトーベのいくつかの行動は、勢いに任せた〝あてつけ〟にも見えてしまうが、そんな素直な性格だからこそ素晴らしいものを生み出し続けていたのだと思う。
あの時代の物やファッション、そしてムーミンをどんな感情で描いていたのか、作品中に出てくるキャラクターのモデルになった人物が分かるのも嬉しい。一度目より二度目、見る数によって、作品の深さと魅力にハマってしまいます。
ちなみに、映画の中で使われていた衣装や小道具が『YOSEIDO銀座店』の〝コイヴ〟で展示中。そこに、おおおお『LiLiCoCo』がポップアップショップとして限定オープンしてます。私がチョイスしたムーミングッズも販売していますので、時間がある方はぜひ!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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